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Vol.28 オンライン接客は金融機関に向いている? 

                             2021年3月


コロナ禍以降、さまざまな業種でオンラインでの接客サービスが始まりました。小売業のような、実物に触れてもらうことが説得力につながる業種ではオンラインでの接客は難しいとされていますが、そのようなところでも取り組みが続いています。
弊社では昨年末に小売業でのオンライン接客についてレポートを出しましたが、金融機関の個人向け相談ではどのような状況なのか、いくつかの金融機関で実際に相談を行ってみました。ここでは、そこから数点、感触をお伝えできればと思います。

■関係維持の役割
オンライン相談をHPからオープンに受け付けている金融機関はかなり限られました。一方でオンライン相談を提供し始めた金融機関のニュースは断続的に報じられており、既存のお客さまや一度商談をもった方に、2回目以降の相談ツールしての提供が多いことが伺えます。
現時点では、新規顧客の開拓より顧客との関係維持の役割を主として担っていると言えるでしょう。

■入り口に辿り着けないことも
HPでオープンに受け付けている金融機関でも、金融機関側の事情で予約が完了できなかったり、当日の接続がうまくいかないなどで相談を諦めたケースもありました。来店で言えば入り口に辿り着けなかった状況です。
これらのケースにあたった調査員からは「忙しい中で時間を作ったのに残念を通り越して立腹しそうになった」といったコメントも挙がりました。せっかく仕組みを作っても本番でうまく動かなければ逆効果なので、お客さまをお迎えする前に何かしらのチェックがあるとよさそうです。
逆にお客さま側の接続がうまくいかないことも出てくる可能性があります。当日まで接続をサポートする態勢が必要になってくると思われます。

■どこまで話すかは金融機関によって違う
オンライン相談でのゴールは、「概要まで」「ヒアリングまで」「商品提案まで」など金融機関によって異なりました。郵送のアフターフォローのステップも含め、1回のアプローチでどこまで進めるかは、金融機関や担当者の個性が出てくるのかもしれません。

■金融機関向き?
金融商品の提案は、もともと「情報」をわかりやすく伝えることを軸としており、「情報」の伝達に特化したオンライン相談には”適している”業態であると言えます。接続がスムーズにできることが前提になりますが、そこをクリアすればお客さまに負担をかけずに商談ができるため、提案の機会を持ちやすくなります。
そうなると、前後の資料送付や複数回の商談を組み合わせるなどコミュニケーションの取り方も工夫できますので、お客さまの状況や理解度にあわせた、きめ細かな対応も可能になります。オンライン相談の活用は金融機関にとっては武器になるのではないでしょうか。
弊社では、金融機関でのオンライン接客を受けた気づきから、求められるスキルを6つのシーンごとに考察したレポートを作成しております。
ご関心がありましたら、担当までご連絡をいただければ幸いです。

■今週の執筆者■
井上美紗(アカウント1部)
主な担当業務:ミステリーショッパー

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日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
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