二ノ瀬 レオ

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不親切な「犬王」という映画

この映画は不親切である。 本作は能楽師の観阿弥、世阿弥と同じ時代を生きたとある能楽師と琵琶法師の物語だ。 冒頭、現代の交差点と思しきシーンから映画はいきなりスタートする。左右に行き交う何台もの車。とともに、どこか陰鬱とした語りが始まる。この物語は源氏と平家が争い多くの命が散っていった、いわゆる「平家物語」の後の話であると。 時は進み、一人の少年が現れるところでようやく物語が動き出す。リアルすぎる蝿の羽音や屈託ない少年の笑顔が印象に残る。少年は海に潜り、そこに沈んでいった

    • 犬王は退屈か

      犬王をまだ観てない方にも向けて書きます。 今作は黎明期の能楽師と盲目の琵琶法師の二人の主人公の物語です。あまりハマれなかったという人たちに多く共通するのが、琵琶法師の語りのシーンが退屈に感じたというものです。 受け継がれてきた物語ではなく、自信が敬愛する能楽師について語る彼ですが、能楽師の独創的な演目の前にいわゆる前座のような語りを行います。このときの語りが今でいうロック調なのですが、同じメロディーの繰り返しで飽きたという人をちらほら見かけます。もっと独創的で革新的なものが

    不親切な「犬王」という映画