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Bellydancer Safinah’s EYE.008~海外でのエピソード、ベリーダンスのスタイル②

こんにちは、サフィナです。そろそろ少し投稿のペースを上げていきたいと思います。ライターのマキちゃんと一緒に頑張りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

さて第8回は、私の海外での体験エピソード(無料)、スタイルについて・その②(有料)についてお話しさせていただきます。無料記事の一部は以前寄稿したエッセイ(『Bellydance JAPAN Vol.27』2004年Spring/イカロス出版発行)より再編集して掲載しています。
 
20歳代の若かりし頃にベリーダンス修業で訪れた国は、エジプトから始まってアメリカ合衆国、トルコ、ロシア、ブルガリア、ウクライナなど数カ国に及びますが、中でも思い出深いのはアメリカとエジプトです。約30年近く前の当時は、ダンスを目的に海外に行く人はまだ少なかった時代です。日本のベリーダンス界では私の師である海老原美代子先生が先駆けで、その生徒さんの仲間くらいしかいませんでした。全員の顔と名前が分かるくらいの狭い世界です。
 
毎年サンフランシスコで行われているワークショップに、初めて私が参加したのが2001年のこと。その際に参加した日本人は2~3人だったと記憶しています。20日間くらいをかけてベリーダンス漬けの日々を送ります。会場近くの安いホテルに泊まって、数回になりますが先輩と一緒に渡米して学びました。今考えると非効率的なのですが、食費を安くあげようとカップ麺をスーツケースに15個も入れて向かっていたんですよね。笑ってしまいますね。
 
その時に学んだ先生が、男性ベリーダンサーの先駆けであり、1970年代で最も有名なダンサーの1人であったバート・バラディンです。1927年にイタリアで生まれた偉大なるダンサーであり振付家。私が出会った当時でもお歳を召した印象でした。第一印象では失礼ながら踊れるのか心配になるような風貌だったのですが、いざレッスンの時間になると素早い身のこなしで颯爽と振り付けを始めてみせました。
 
その体験はどれもすばらしいものでしたが、私が最も感銘を受けたのは彼の「Feel the Emotion!」を体現する繊細な感情を動きにした精神の解放を促す振り付けと、彼が発する魅惑的な言葉でした。バートはあまり動きませんが、ちょっとした指の動き、足さばきで魅せていきます。そしてロマンティックで勇気の出る言葉をどんどん浴びせてくるのです。
 
ダンサーたちは皆、みるみる優しい微笑みになって、楽しくてうれしくて仕方がない表情になっていきます。女性に生まれて良かった、女性特有の美しい身体に生まれてうれしい、強く生きられて幸せ・・・と、感動が押し寄せてきます。人種も年齢も関係なく、みんなが一つの空間でいろんなことを分かち合えたひとときでした。
 
これがダンス!これがFeel the Emotion(感情を感じて)! Feel your body(身体を解放して)!―私のダンス人生が開眼した瞬間でもありました。
 
海外では男性の先生から女性ダンサーと同じ振り付けを学ぶことも珍しくありません。女性より男性の方が腰の動きがダイナミックで、女性より女性らしかったりもするんですね。私が剣を学んだのも男性の先生からでした。
 
余談ですが、当時のワークショップに参加するメンバーには日本人をはじめ東洋人が数名しかいなかったこともあり、体格の良い白人女性が幅をきかせていた時代です。私は今よりさらに痩せていたのもあったのでしょうね、あだ名のように「スティッキー=小枝ちゃん」と呼ばれたのを今でも覚えています。東洋人を同じ土俵の上にいると見てくれていない雰囲気は確かにありましたね。悔しい思いをバネに、東洋人にしか出せない魅力を出していきたいと思うようになりました。

バート氏と若かりし頃の私。

 一方のエジプトでの体験は、別の意味で衝撃的でした。エジプトで開催されたワークショップに個人で参加したのですが、教えてくださる女性の先生は予定の時刻から3時間経ってようやく現れるというルーズなお国柄。それでもカリスマ性のある先生だったこともあり、誰も抗議する人はいませんでしたね。雰囲気に圧倒されるというのはこういう方のことを言うのかもしれませんね。

日本ではあり得ないお話しですが、砂漠の人々は細かいことを気にしていては生きていけない民族なのだろうと思います。郷に入っては郷に従う。私もその精神で学んでいました。 滞在期間は約1カ月。ベリーダンス漬けの毎日でしたが、食生活を含めた暮らしが大変でしたね。冷蔵庫がないので、お店で腐りかけの鶏肉を出されたこともありました。バスに乗るにもバス停がなく、アラビア語の数字が書かれたバスを一生懸命目で確認しながら自分の判断で行動するのは緊張の連続でもありました。そういったエジプトの文化や風習も含めて全てに敬意を払って生活することが、異国で学ばせていただいている身には大切だと思います。 

ワークショップに参加していたのは全世界から来た生徒たちでしたが、エジプト人の身体的な魅力についても少し触れておきますね。おしりや胸は大きいのが当たり前。ちょっと動いただけでも身体が揺れるので、シミーにはうってつけの身体と言えますね。レッスンスタイルは失礼ながらちょっとダサいかなと思う、光るレオタードみたいなもので、エアロビシューズを履いて踊っていらっしゃいました。日本人は他人からの目を気にしすぎるところがありますけれど、何と思われようと自信を持つこと。自分は自分でバン!と、これが私だとやっていい。そんなことを学んだ海外での体験だったなと思います。

「レダ・トループ」の創設者であり、エジプトを代表する振付師&ダンサーの
マフムード・レダ氏と私。
ブレブレの紙焼きプリントですが、大切な宝物です。

 第8回の無料記事はここでおしまいです。第9回は、ダンサー生活までの成長物語(無料)、衣装について(有料)についてご紹介させていただきます。

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