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『習うより慣れろ』再考

長崎県の行政当局、今は新型コロナウイルス感染症対策に専念いただきたい。何故5月、6月この時期に精神科医療従事者に中身のないギャンブル依存症研修会を行うんですか?何だか6年間英語教育受けたが、日常会話すらできないが如しだね。

現在、20代以上の日本人は少なくとも中学、高校の6年間は英語を必須として学んでいる。だが、多くが日常の会話すら語れないのが現状だ。私の知人に10代のほとんどを英語圏で過ごした人物がいる。彼によると日本国内においても、英米人が複数名集い雑談している中に少し居るだけで「頭の中が英語に代わる」らしい。いわゆる「英語脳」だ。彼も含めて、若いころ海外生活の長い人、留学生あたりが一句同音に「6年間も英語学んで日常会話もできないの…?」と指摘する。

依存症対策を長崎県行政が、中央の研修会等で即席に学んできたパッケージ化したプログラムを陳列し、さらに依存症治療の現場に身を置いたことのない大学病院の精神科医に講義を強いて行う研修会とは、まさしく簡単な日常会話すら身につかない英語教育の如しである。因みに先に紹介した知人は、日本における英語教育の何かを学ぼうとはしなかった。しかし後年、難関大学を目指す多くの受験生の家庭教師を務めている。慣れれば、学ばなくとも、教えることもできる、といったところだろう。依存症治療も然りである。

依存症対策の研修会の話題に戻ろう。講義を強いられている大学病院の精神科医は、行政からの依頼を断るに断れず、私のこと(不肖西脇)を師匠だからと言い渋々引き受けたようだ。だが私は弟子にした覚えはない。彼には彼が専門とする領域で依存症者の生き様が参考になるかと思い資料、小著などよく送ってはいる。だが、はっきり言って彼は依存症治療には向いてない。それより彼が今専門とする分野でもっともっと実力を発揮してほしい。

それどころか、ここ20年あまり、地元大学病院から精神科医の派遣は、常勤、非常勤は皆無。それどころか、当直にすら来てもらってない。。当院が拒んでいるわけではない。それより御多分に洩れず精神科医不足には泣かされてきた。そして、大学病院精神科からの依存症患者の紹介はというと、以前のブログで登場いただいた当院のフクザワ君の書面https://note.com/niken/n/n25c97b148fc2のとおりだ。

確かに『習うより慣れろ』は多少時間がかかるが、火曜日当直に来るだけでも「夜間集会」に顔を出すのもいい。あるいは、地域で当事者グループのオープンミーティングに参加するのもいいだろう。そこで体験談、つまり「むづかしことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」(井上ひさし)といった「ツボにはまった話」https://note.com/niken/n/n5315e5b8e86dを繰り返し聞けばいい。そうすれば直ぐに依存症当事者とも馴染みの関係になれるはずだ。そして、そんな場で回復のイメージを育ててほしい。そうなったら依存症治療者、回復支援者として活動していいと思う。となると、中身のない退屈な研修会など必要とはしない。

行政当局は中身の全くないギャンブル依存症対策研修会を行うより、今は新型コロナウイルス感染症対策にご尽力いただきたい。

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