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街角の喫茶店  

もう何年も前からその喫茶店はあります。フラワーロードという神戸の中央区を南北に走る路線の真ん中あたりの路面店です。

この道は布引の滝に向かうので「滝道」とも呼ばれていたそうです。
カウンターとテーブル席があり昭和の雰囲気そのままに今も人気があります。いつも満席ですが窮屈さはありません。なぜかすんなりとその中の一人になれる不思議。人の声は聞こえても内容は分からないほどの心地よさです。

いつもはアツアツの卵サンド。ハーフの量だから丁度小腹にはいいんです。私はふらりと散歩中、小腹が減るとよくここに立ち寄ります。
このサンドイッチとあっさりしたコーヒー。それに小皿に季節のフルーツがついてきます。

マスターはほど良い愛想でなんだか親戚のおじさんのような雰囲気です。

置かれた雑誌を読む人、新聞を広げる常連さんらしき老人。
マダムたちは大きなテーブルに座ってまるで自宅でお茶会しているみたいに楽しそうです。

ぼんやりできる喫茶店もいいものです。

何にも考えないも良し。読みかけの小説は半分までで休憩。
ココを出たら北野に上がるか海に向かって三宮。ちょうど真ん中なのでその日の気分で行き先を決めます。

今日のニケはお留守番。近くのパン屋さんで大ぶりのクロワッサンとソーセージがはみ出したハードパンを買って家路につきます。

最近は観光客も増えて至る所でスマホ撮影で賑やかです。
真っすぐ歩いて行くと新神戸駅ですが、北野に繋がる坂道に海の見える丘があります。春には斜面一面にさつきが咲きますが今は花のタペストリーの面影もありません。

朝は日の出を見るためにこの丘に集まってくる数人は犬連れやシニアのお二人、一眼レフの本格派。お互い目礼のみですが、ひと時を一緒に楽しみます。ここでも神々しい日の出は海を燃やしながらゆっくりと登って三宮のビル街を照らし始めます。それは数時間前の事なのにすっかり町の様子は違っています。

神戸はほとんどが坂。緩やかなものやかなり急なものもありますが、それぞれの丘には小さな喫茶店、古い画廊。様々な国のレストラン。観光客が立ち寄る店もありますが、近隣の住人が通う街の喫茶店もあってあまりダイエットには不向きな散歩道ですが、そんなこととっくに忘れて何が目的なのかわからなくなります。

帰ると玄関まで迎えに来るニケですが一緒に出掛けなかったことにちょっと不機嫌な様子です。


少し寒くなってきました。秋を楽しむのはもう少しだけかもしれません。

今日もいい日にしましょう!






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