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静かなる南蛮美術館  ニケと歩けば

新神戸駅から東に歩くと神戸市文書館があります。ちょっと距離はありますがいい運動になります。以前は南蛮美術館と呼ばれていました。シンプルながらよく見ると細部まで凝ったアールデコ調です。

古い建物が好きな私にとってはタイルの色や窓の装飾、飾り格子はいつまでも見ていたくなり、しばし立ち止まる私をニケが見上げます。

その前には市バスの停留所。その時と同じ場所にあります。母と小学生の私はそこから三宮に行くバスを待つのですが、その建物の何とも異様な雰囲気が怖くもありました。南蛮という響きも何か不思議に覚えています。
叔母の家に遊びに行くときはここで降りるのですが、他の停留所とはちょっと違った様子です。帰りにはそこまで送ってくれる若い叔母が好きでした。

昭和20年の空襲で神戸市の中心はいったいが焼けましたが奇跡的に収蔵品と一緒に難を免れたと習いました。

今はひっそりと建っていますが戦争にも耐えて存在する尊さを大切にしたいものです。日曜日になるとシニアのグループがやってきて、館内を見たり外見の写真を撮ったりとなかなか隠れた人気の建物です。

直ぐ山が迫っているところ、私の小さなころは、そのあたりは住宅地開発が盛んで、山を開いて東西に流れる道路が出来たり、丘陵地の形状に合わせる石垣は御影石。ほとんどのおうちはその上に立っていました。
今はそんな風景はあまり残っておらず、一つの家が壊されるとマンションになり戸建てもその中に2件3件といくつかに区分けされています。

東にそのまま進むと王子動物園の山側となります。
幾筋もの坂道は太いのあり細い路地ありと南に向かっており、その先に遠い外国と繋がる海が横たわっています。

そんな住宅街の一角、この神戸文書館は、不釣り合いなのかひっそりとたたずんでいるものの、そのまえを通る人はもう生活の一部の風景のように通り過ぎます。

普段の生活にこんな建物を見ることはちょっとした贅沢です。

今日もいい日にしましょう!



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