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蝉は七日を全うする

その場の空気を破る蝉の声、他の音を遮断するみたいに耳に響きます。

少年が虫取り網、その中にはたくさんの蝉、ばたつかせてもがいています。

一生懸命逃げようとする蝉と、もくもくと捕まえる少年。

思わず「この後は逃がしてあげてね」と言いたい気持ちを押し込めました。

この少年に、今、蝉の一生を話したところでどうでしょう。

生きとし生けるもの、生まれてまた土に戻る。このことの切なさと、

受け入れないといけない現実を分かるにはまだ早すぎます。

息子と主人は近くの山に夏休み、毎日のように蝉取りに行っていました。

蚊に全身刺されるのは、父親ひとり。

昼過ぎ、汗だくの二人はシャワーを浴びて冷えたビールと麦茶で乾杯!

虫籠の中は空っぽ。息子に聞くと、7年もかかって、土の中から出てもたった7日の命だと父親から聞いて、いつも家に持って帰った数日後にお腹を見せたままの蝉のことを思い出したそうです。ならば、元気なうちにと毎回放すというのです。

なんだか山での蝉の声と二人の会話が聞こえてきそうで、嬉しくなったものでした。

毎年、蝉の声や抜け殻を庭の枝や葉っぱの裏に見つけるとその当時のことを思い出します。

蝉殻2

今は帰省した孫たちが帰った後には、毎回おもちゃの列車のように抜け殻が並べられてます。今年もやってきて同じようなことをするのでしょうか?メダカや金魚に餌をやりマル虫を探し、朝の5時に起きてニケの散歩に付き合い、王子動物園は自分たちの庭みたいに走り回る。毎年毎年見るたびに少年の顔になっている彼らに今年は蝉の話してみようと思っています。

「そんなこと知ってるよー!」と言われそうですが…。それはそれでどんな答えなのかも楽しみです。

 賑やかさだけを残して去っていく彼らと今年も子孫を残すためになく蝉とが重なり合って、暑い夏は終わりそうです。

毎年が同じようでもやっぱり違う。それに気が付きながらも同じようでありたいと願う私は寂しがり屋なのでしょうか?

すでに土の中には来年の準備をしている蝉たちがいるはず。

「どうか無事で出てきてね」と祈ります!

ニケはいくら早く起きてもすぐに暑くなる散歩道に少々げんなりしながら家路に着くと、あー暑かったと言わんばかりにコロンと寝そべります。

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今日もいい日にしましょう!


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