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9/15 『人間みたいに生きている』『すごい神話』『ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。』

 昨日『すごい神話』読了。

人間みたいに生きている

 こちら明日までnoteで全文公開しています。とてもキャッチーな冒頭なので覗いてみてください。

 食べることになんら抵抗のない私ですが、読むと主人公三橋唯の感覚が乗り移るようでゾワゾワしました。

 自分と同じような感覚を持っている人はいない。と思って生きていると、少しでも似た感覚を持っていると感じた相手に、理解してもらえるのではないかと大きな期待をしてしまう。自分と同じはずだと、相手を塗りつぶして気がつかないほどに。それくらい理解されることに飢えている。飢えて、自分のことでいっぱいになってしまう。
 自分のことでいっぱいになると、相手を見る余裕がなくなってしまう。「きっと〜に違いない」と思い込んで、幻の相手を前に意味のない努力をし、よそからみるとまるで不可解な行動をしてしてしまう。そしてそんな自分をまたおかしいと思う。そう言うの、すごく刺さる。

 食べることを楽しむのが普通、楽しめない私はおかしい、だから誰も私を理解しないんだという思い込みが自分の中にあって、それが彼女の世界に投影されているから、自分で自分をどんどん孤独にしてしまう。
 その思い込みの根っこにあるのは、幼い頃からある家族の態度や価値観をそのまま受け取っていることなんだよなあ。それも発している親自身が無自覚なものを。親は当たり前だと思って疑わず、常識だと思っているから検討することもなく、良かれと思って価値観を押し付けてしまう。子供を理解してあげられていないことに、態度を通して否定してしまっていることに気がつけないでいる。受け止められていないことを知らない。

 かなり昔に読んだ話だけど、R・J・パラシオの『ワンダー』の主人公オギーは顔に障害を持っていて、誰とも同じではないし、十分に理解は届かなかっただろうけど、唯ほどには孤独じゃなかったように思う。
 マイナスな思い込みを持つ要素はいくらもあったと思うんだけど持たなかったのは、自分とは全く違うけれどそれなりに理解された、受け止めてもらえたと感じた経験が家族との間であったからなんじゃないか。
 そのため理解されることに飢えておらず、唯のように、誰かに全く丸ごと自分の感じたように感じて理解して、受け止めて欲しい、とまでは望んではなかったのではないか。他者の態度や価値観とも適切な距離が保てたのではないか。

 作中の唯の変化と着地点にすとんと落ちるものがありました。


ダウン症があるとかないとかどうでもいい、誇りがあればいい。

 カクヨム連載のエッセイ。

 読みながら思い浮かんだのは、昨今のインクルーシブ教育を求める流れのこと。20年くらい前、私は支援学級はどのようにあるべきなんだろう? ということについて思い巡らせていました。
 その時は、支援学級という成長の度合いやニードに合わせた個別の課題を見てくれる居場所があるから、交流学級で大半を過ごすようになっても学校で安心していられるんじゃないかと言う感覚があって。
 と言うのも、どうしても学年に入ると「全体に合わせなくては」と言う意識が働いてへとへとになったり、いるだけで内容が何も入っていなかったりして、どうにかいることができても、あまりに頑張りの度合いが大きすぎて辛いんじゃないか、と思ってしまったから。
 しんどくなったら支援級がある。自分と似通ったニードを持つ子供のための場所がある。そこでは自分がそこそこ普通だと思える(普通ってなんだって話にもなるんだけど)。それが支えになるんじゃないかっておもったんだよね。
 人員的なことを考えると現実的じゃないのかもしれないけど。(今は半分以上支援級にいないと在籍できないんだっけ……)

 だけど本来はどの子も学年の中に居場所があり、支えられていると感じられればと言うのが理想なんだろうとも思う。インクルーシブが実現し、全ての障害を持つ子どもが学級内で学ぶとなれば、通常学級の中に障害を持つ子どものニードを受け止める準備ができていく。通常学級の在り方が変わっていくんだ。
 障害を持つ人と一緒に学んだ子どもたちが大人になれば、社会も障害がある人がいることを前提にしたものに変わっていくだろう。変わる必要があるのは障害を持たない人たちの方なんだ。障害を持つ人が安心して一緒にいられる世界を作ることができれば。いろんな人を受容しやすくなる。

 また一方で吹きこぼれの問題もある。彼らも学校に苦痛を感じがち。教育に必要なのはみんな一緒で足並み揃えることではなく、それぞれのニードを満たし、成長を支えること。だとするとやはりそれぞれのニード、課題に合わせた場所を準備するのが自然なのではないか。この問題を考えるとこんなふうにぐるぐるしてしまう。
 日本しか見えてなくて、知識が少ないからだな。

 こちらのエッセイの息子さんは支援学校を選びます。ニードに合わせた対応や将来設計ができると感じたからだと思うんです。通常学級に障害児がいることを想定していない現状では、ニードが合わなくても当事者側が合わせることになってしまうだろうし、そのために必要な援助は準備されないのだから。
 生まれる前から成長、さまざまな選択を綴ってくれたこのエッセイは支援学校在学中に終わりを迎えます。中学年に入る頃です。

『すごい神話』 

 小説、映画、漫画やゲームの中にある世界の神話を教えてくれる本。
 各地に似通った神話があるのも不思議。神話はなぜ生まれ、どう広まっていったのか、そのことにどんな意味があったのかなど不思議に思うことがいっぱい。

 感想というより、読んだことで触発されて思い浮かんだことのメモだな。


今日の名作(ローマ字)の結果は「C-」スコア「115」でした。
今日の名作2(ローマ字)の結果は「C+」スコア「143」でした。
今日の名作(ローマ字)の結果は「B」スコア「178」でした。

 今日は太宰治と夏目漱石。漱石さんでいつもいいスコアが出るなぁ。 


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