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1/19.20 『侍女の物語』まだ途中

 『侍女の物語』10章28から、もやもやしていたものがだいぶ見えてきた。かつて、そして今の私たちが感じていることがそこには重なる。言葉にして伝え難いことが時に明瞭に表現されている。自分自身であることを奪われるということが。

 読みながら『天上の葦』のテーマを思い出した。一度社会が間違った方向に舵を切って仕舞えば、言論は押しつぶされ、抵抗も大きな渦に飲み込まれ、ほとんどどうすることもできない。最初の異和を捉えてそこを潰さなければ。
『天上の葦』では情報を捻じ曲げ、思想を刷り込み、気づけば戦争のムードに呑まれていたその渦中の人々が、全て終わったのちに理解して後悔すると言う描き方だった。
『侍女の物語』は渦中の「私」のなにが正しいのかどうすればよいのかわからない寄るべなさを感じる。自分自身が奪われて、混乱する感じ。間違えば暴力の対象に転落する恐怖。それに寄る感覚や現実感の麻痺。それらを体験させられる。

 現在11章34。

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