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3行小説⑤

『透明人間』
透明人間になった。
警備員の横に並んで立っている。
定時それぞれの方向へ帰っていく。

『永久歯誤送信』  
歯茎の中で完璧な永久歯が造形された。
「もう少し右!ちょい奥!そうそこ!はい、オッケー!」
見事な親知らずが半年後、突き抜ける。

『教祖』
照明!
カリスマ教祖、始めます。
音!

『ラスボス』
ラスボスが現れた。
ラスボスが斧を振り下ろす。
ふわりシャンプーの香りが鼻をかすめた。

『まだ』
「踊った?」
「まだ」
「踊る時教えて」

『待ち合わせ』
何も特徴のない場所で人々は待ち合わせをしている。
最も派手な長身がどこかへ歩きはじめた。
人々の大移動が始まった。

#ショートショート #小説

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