GuitarFreaks XGの特許

その前に、GuitarFreaksの特許権の存続期間について

前回記事の補足です。

当該特許出願は、1999年にされ、特許権取得後、2019年まで特許料が納付されていたので、出願から20年まで特許権が存続し、存続期間満了による抹消となっていました。

GuitarFreaks XGの特許

GuitarFreaks XGの特許出願に関する番号は、出願番号が特願平11-308872、公開番号が特開2011-036293です。

特許請求の範囲

特許出願当初の特許請求の範囲に記載された請求項1を、以下に引用します。

弦楽器を模して、ボディ部と、前記ボティ部から延びるネック部と、前記ネック部の先端に設けられたヘッド部と、を備えた入力装置において、
前記ヘッド部に、加速度を検知可能な加速度検知手段が設けられている入力装置。

特開2011-036293号公報の特許請求の範囲に記載された請求項1

入力装置の特許出願です。GuitarFreaksの特許が、ギターコントローラに特徴を出して特許になったことや、出願時点ではGuitarFreaks自体が公開されており、ネックボタンが3個から5個に増えたというだけでは進歩性が気になるとこと、さらに、ネックボタンが5つあるGuitar Heroが発売されており、新規性も危うそうなことから、このような出願になったのではないかと予想します。すなわち、ギターコントローラ本体に特徴を持たせるという方向になったのだと思われます。

本願発明の特徴は、ネック部の先端に設けられたヘッド部に、加速度検知手段が設けられていることです。

この特徴により、弦楽器に用いられる演奏技法に対応する動作を入力することができ、ギターのヘッド部を水平方向に回転させる操作や、ジャンプの操作が入力できるようになるという、特徴的な効果がもたらされることになりそうです。

拒絶理由と権利化の断念

しかし、当該請求項1について、進歩性違反が通知されました。ウェイリング操作を検出するために加速度センサ等の検出手段が設けられることを記載した文献が発見されたのです。ちなみに、文献は特開2001-009152であり、出願人は、本願出願人と同一でした。

つまり、すでに、加速度センサ(加速度検出手段)を用いがギターコントローラの技術が記載された文献があったのです。当該文献により、本願発明は想到容易であると判断されました。

その後、本願発明は、ゲーム画面上にて時間軸に沿った配置で、プレイヤーが行うべき動作に対応する指示標識を表示するというゲームシステムの発明での権利化が目指されたものの、やはり既存の技術に基づき想到可能ということで再度拒絶理由が通知されました。

再度の拒絶理由通知に対しては応答しなかったため、拒絶査定が確定し、権利化には至りませんでした。

振動するコントローラ

ところで、ギターコントローラに振動を発生させる振動発生手段を設け、所定の動作が継続されている間に継続して振動を発生させるという発明については拒絶の理由を発見しない(=特許可能)という審査がされていました。

そういえば、XGが出たとき、ロングノーツを押しっぱなしにしていたときに振動していたかも。あまり記憶が定かではありませんが。

しかしながら、この発明は権利化しませんでした。権利としてちょっと狭すぎるという判断があったのかもしれません。

おわりに

GuitarFreaksとGuitarFreaks XGの特許を見てきたのですが、出願人であるK社においては、音楽ゲームのルールはすでに確立できているので、コントローラ側に特徴をもたせるという流れのように感じられました。

他社としては、コントローラに工夫をもたせるか、もしくは、ルールを変えていくか、ということで進み、実際には、K社の特許権に抵触しないようなルールの音楽ゲームが発売されていきました。

次回、様々な人がすでに話題にしているので私が触れる必要はないのですが、BEMANI特許を見ようと思います。

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