GuitarFreaksの特許

イントロダクション

先日、GuitarFreaksで遊んでいたところ、久々にエクセレントを取りました。

ツイートでも触れていますが、GuitarFreaksというゲーム(より正確には、ゲームを実現する装置、つまりは筐体)について、特許出願がされています。

出願番号は、特願平11-308872、公開番号は、特開2001-096061、登録番号は、特許3204652です。なお、公開公報は、以下のページから確認できます。

さて、そもそもどんな特許なのか。

特許請求の範囲

本件出願は、進歩性違反が通知されました。該通知において、審査官は、ギターを模擬した操作手段を有するゲームがあるとして、引用文献2(A VIRTUAL MUSIC ADVENTURE TOMOYASU HOTEI STOLEN SONG)を引用しました。

しかし、引用文献2は、VPickという、ピックを模擬したコントローラが記載されているのに対し、本願発明(GuitarFreaks)は、補助操作部材(ネックボタン)と、タイミング指示操作部材(ピックレバー)を一体的に備えた操作手段を備えている点が異なります。これにより、本願発明は、より実際に近い楽器演奏の状態でリズム合わせゲームを比較的容易に楽しむことができるという効果が得られる、とのことです。

そのため、操作手段を限定する補正を行った上で、特許となりました。以下、本件出願の登録公報(特許3204652)に記載の特許請求の範囲に記載された請求項1を、適宜改行を入れて引用します。

少なくともリズム音を含んで構成された演奏曲の一音毎の音データを記憶すると共に、前記演奏曲のリズム音の一音毎の種類を選択する選択データとその出力タイミングデータとを記憶するリズム音記憶手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に対し、前記一音毎の選択データとその出力タイミングデータをそれぞれ時間経過に関連させて表示させると共に各音に対する操作タイミングの指示を行う表示制御手段と、
音発生手段と、
前記音発生手段を制御して前記演奏曲のバックグラウンド音を出力する音出力制御手段と、
前記リズム音記憶手段の音データの1つを選択的に指示する補助操作部材および、リズム音の各音毎の前記音発生手段への発生タイミングを指示するタイミング指示操作部材を一体的に備え、該タイミング指示操作部材が、回動自在に構成されたピッキングブレード、そのピッキングブレードのブレード部分が基準姿勢を取るように付勢する付勢手段および前記ピッキングブレードの回動を検出する回動検出手段を有すると共に該回動検出手段による該ピッキングブレードの回動検出により音発生指示タイミングを感知するピッキング入力手段を有する操作手段と、
前記操作タイミングとして指示されている音データに対する前記タイミング指示操作部材の操作タイミングと前記表示手段に表示される操作タイミング指示のタイミングとを比較し、そのずれ量からリズム入力操作を評価する評価手段と、
前記補助操作部材で選択された音データが所定間隔内に操作タイミングとして指示されているか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記音出力制御手段は、前記判断手段が肯定した状態において前記タイミング指示操作部材が操作された時点で前記操作タイミングとして指示されている音データを前記音発生手段へ出力して発音させることを特徴とするリズムゲーム装置。

特許3204652の登録公報の特許請求の範囲に記載された請求項1

書いてあることは、補助操作部材(ネックボタン)で選択された音データが、所定間隔内に操作タイミング(ノーツ)として指示されていれば、タイミング指示操作部材(ピックレバー)が操作された時点で、その音データが発音されるというものです。GuitarFreaksそのものです。そして、タイミング指示操作部材(ピックレバー)が特徴的であり、GuitarFreaksたらしめているものなのです。

GuitarFreaks ≠ beatmania + 電子ギター

なお、審査官は、beatmania(引用文献1)と、電子ギター(引用文献3)とを組み合わせるとGuitarFreaksになるんじゃないの? とも指摘しました。これに対しては、本願発明の操作手段(ギターコントローラ)は、実際のギターとは構成も弾き方も異なるため、たとえ組み合わせても、「より実際に近い楽器演奏の状態でリズム合わせゲームを比較的容易に楽しむことができる」かどうかは不明瞭だし、引用文献3には、本願発明の操作手段の記載も示唆もないため、本願発明は想到容易ではないと主張しています。

確かに、当然ではあるのですが、GuitarFreaksと実際のギターとは、構成も弾き方も異なります。したがって、GuitarFreaksが上手だとしても、実際のギターが上手だということにはならないのです。リズム感は付くかもしれませんが。

次回

さて、次回は、GuitarFreaksXGに対応する、特開2011-036293を見たいと思います…、次回があれば…。

余談:引用文献2

引用文献2で引かれたゲームの動画です。GuitarFreaksとは、ゲーム性が全然違いますね。

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