ESTRO school行ってきた (後編)

・縦郭リンパ節評価について
UICC9版になり、単発か複数かがN分類に入ってきたが、
もともとその前から海外ではN2の診断はかなり
こだわっていた(縦郭鏡などのアプローチも普通にする)
日本との温度差はかなりある。

EBUSでLN腫大があったら、3回は刺すように!
(すべてのリンパ節で)と言っていて
かなりテンションの違いを感じる。

ヨーロッパではNの違いが結局
外科手術の結果に直結する、という考えのようで
N0とN+でかなりテンションが違うようだった
(夕刻の実際の症例提示でも、気管分岐にかかるようなT4も
 N0なら攻めて手術する、と言っていた)

肺全摘に関してはやはり海外でも「やらん方が」
の空気になりつつあるよう。

・早期肺がん
日本よりはSBRT肯定派。
ただ、やっぱりfirstは手術なのは変わらない。
SBRT後サルベージをする場合、やはり気管断端瘻は
気にして、それなりの処置を加えると言っていた。
縮小手術にはちょっと懐疑的な立場の先生だった。
術前療法がキノコタケノコ状態で、
あえて突っ込まなかったと腫瘍内科医の先生。

SBRTの再発のゴールデンスタンダードは?
と聞くとやっぱりみんなモゴモゴ。
ただ、(知ってはいたが)頭尾方向に延びる
陰影は強く再発を示唆するよう

・小細胞肺がん 根治
海外では一日一回照射も選択肢、と強調。
(みなしエビデンスとして)

一回線量増加や線量増加についてレクチャー

の論文をすごくほめていた。

※最終線量にこだわるのではなく
 OARの線量を優先する、というところを
 強調していた。

スライドに去年のASTROのIII相比較試験がなかったので

突っ込んでみたら
「知っているよ、凄いね!論文出てないから除いたんだ」
とのこと。

Adriaticに関しては今後を見守ると
線量増加+デュルバルマブ地固めは
講師陣はみんなちょっと控えめの感じ。
欧米人は食道有害事象が気になるのか、
線量増加は慎重派のよう。
(肺線量もかなり気にしていた)

・小細胞がん地固め(EDで)

のSlotmanを基本として。

基本的には
※緩和照射
※よく効いた群に地固め
※無理しないで30Gy/10Fr程度
を強調。


とかの話の流れで
Caspianとかでテイルが出る時代、
もっと積極的にやるのは?と話したが
「線量増加はするかもしれないね」
という意見のみ。
反応しない群でもRTするのか?
は若干否定的

こういうのをひっくり返すかもしれないので
JCOGの試験にはちょっと期待

・PCI
海外でもいろいろ議論を呼ぶところらしい。
海馬回避PCIに関しては二本論文が出ていて
相反するする結果なので結論は出ず。


EDに関しては日本の論文で否定的な感じ。
いわゆるscan&waitに関しても議論有り。
ただ、Adriatic含め、欧米の多くの試験は
PCIをやっているので、エビデンスの
輸入の際は一考必要

・PORT

(たぶん)この試験の先生。
PORTが必要な群は(少ないが)ありそうという意見

あとで

◎個人的に54Gyは高すぎるのでは?
 40Gyで充分では?

※40Gyの根拠は?我々は過去の研究をもとに
 54Gyにしている

◎ENRTをしていた時代、40GyのENIで縦隔単独再発は
 非常にまれであった。そもそも論としてもし私が
 腫瘍内科医であったとしたならば、ケモだけでも
 それなりに制御できることを考え、もし
 再発した際にサルベージで(C)RTをするのであれば
 60Gy(ヨーロッパでは66Gyが主流のようだが)
 照射を私ならするが、そうするとPORTと
 たった「3Fr」しか違わない
 心臓の有害事象などを考えると「予防的に」
 PORTをする、ということを考えると
 標準アームとして54Gy照射します、と言ったら
 腫瘍内科医は「じゃあ、サルベージの時にROを呼びますわ」
 となると個人的には思う。

 もっと線量を下げないと「予防的な」照射とは呼べないのでは?

※なるほど…

で終わった。

・オリゴメタ
ICIやTKIに関してはオリゴメタ(プログレッション・パーシステント含め)
に局所治療介入は「効いてないクローンをつぶす」
という意味でみな肯定的。

のネガティブだった試験についても考察あり。
患者チョイスが今一つだったのでは?と。

腫瘍内科医的にはTKIのオリゴメタは「取ってほしい」
よう(耐性のメカニズムなどが分かるから)
IOに関してはそこまででもないんだそう。

・緩和
SVC症候群は気道浮腫でもない限りRTは急がない
急いで中途半端に照射すると根治を逃すかも。

基本8Gy/1Frがよろしい。
脊髄圧迫でも同様。

Lancetの有名な論文は除圧だけじゃないことに注意。
ごく限られた患者だけ、SBRTをする価値があるかもしれない。

(パーソナルコミュニケーションで
 いわゆるリキッドバイオプシーについて聞いてみた)
個人的にはとても期待しているが肺がんでは
(大腸がんではSignateraがあるが)
確立された系がない。
本当にDNAを使うべきなのか
(RNAやリポソームも気にしていた)
という点も問題。
個人的にはT790Mのように
TKIの変異が見つかるといいなぁと思う。

とにかくコスト面が問題なのが辛い。

というわけで、非常に貴重な機会を頂きました
たぶん私が知らないだけで、みんなbigな先生なんだろうけど
非常につたない英語にも好意的で、ESTRO schoolまた行きたい
(肝臓とか膵臓とか直腸やらないかな)

今回の会に尽力いただいた先生方に改めて感謝いたします。

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