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持続可能なミュージアムのDXとは

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ミュージアムの世界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)ということばを耳にするようになってきました。ただ、使われ方を見ていると、ミュージアムと社会との接点、たとえば展示をデ…
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2021年11月の記事一覧

持続可能なミュージアムのDXとは(第8回):画像ファイルの名前

前回の記事を書いたあと、どちらに話を広げようかなと思案していたら、だいぶ間が空いてしまいました。今回はミュージアム資料のデジタル画像を作る際に出会う、一見些細な課題をとりあげてみます。 歴史の長いミュージアムであれば、過去に撮影、焼き付けしたフィルムや印画を大量にお持ちでしょう。ミュージアムにとっては貴重な情報資源です。しかし現在では、いわゆる「銀塩写真」の処理が可能な技術的環境はきわめて限られており、デジタル化しないままのフィルムや印画の利用はとても困難です。また、業務環

持続可能なミュージアムのDXとは(第7回):貸出のDXことはじめ

大昔の話ですが、東京国立博物館の所蔵品を他の館が展覧会のために借用しようとする際には、はじめに各分野の担当者に交渉する、というしくみになっていました。つまり、借用希望の物件が絵画、書跡、漆工、考古資料と4分野にわたっていると、4つの担当部門(当時の「室」)と話をつけないといけない、ということで、それができて初めて事務手続きが始まっていたのだそうです。借りる側の学芸員だった方が、とても大変だったと述懐されるのを聞いたことがあります。2001年に独立行政法人化して以降、さすがにそ