見出し画像

無名の講師の講義のポイント5点。

専門学校、大学でインテリアデザインや建築の非常勤講師を始めて5年目になります。
今年度の前期が終わっての気付いた事をまとめて行きます。

大きく分けて5点あります。
①学生の講師に対するリスペクトはない
②学生は"わたし"ではなく"わたしたち"
③学生はチームでのワークは3名まで
④学生の集中力は50分
⑤学生はスケジュール管理が苦手

①学生たちの講師に対するリスペクトはない

勘違いして頂きたくないのが、あくまで「入学した当初」の話です。
僕のことを入学前から知って下さって入学される方も稀にいて、そんな方々はリスペクトしてくださっていて、この表題はそれ以外の方々の話です。
当然ですが、超有名な方ではない限り学校運営側は講師の先生がどんな方か?を公開することはなく、講師の普段の仕事や人間性など知らないわけです。
(一部の学校は公開されていますが)
当然どこをリスペクトしたら?となるわけで、当然講師の話など聞かないわけです。
そこを踏まえた上でどう伝えていくか?が大切になるわけなのですが、結論は一つで「講義をしない」になります。

②学生たちは"わたし"ではなく"わたしたち"

では、講義をせずにどうやって伝えるか?になりますが、それは「質問をさせる」です。
これは「質問してください」と呼びかけることではなく、「質問ができる状況」を作ることです。
そのためには「わかりそうでわからない」という課題が必要で、「一旦調べろ」のようなスパルタではなく、僕が知ってることならすぐに教えて、僕も知らないことであれば「共に調べる」と言ったことです。
ただ、それだけでは「質問ができる状況」としては不十分で、ポイントになるのが「わたし」ではなく「わたしたち」。
結論から言うと、ペアもしくはチームで課題に取り組ませることです。
日本人の特性としてリスク回避があり、学生のリスク回避のアンテナは非常に高いです。
目立つのが苦手、変な質問をしてると思われたくない、などのリスクを想定するため、「わたし」単体では「質問をしない」という選択をします。

③学生たちのチームでのワークは3名まで

ペアやチームでの課題のメリットは他にもあって、それは「ディスカッションのトレーニング」です。
学生たちはコミュニケーションは日常的に行いますが、ディスカッションは機会がなければ行いません。
ディスカッションのトレーニングはやる気や勇気ではなく、「目的の設定」だけが必要です。
授業課題を通してディスカッションを行い、違う意見を聞き、自分の意見を述べるという反復がディスカッション力を育てるプロセスに不可欠です。
ただ、そこで「人数の制約」は必要になります。
課題のボリュームにもよりますが理想的なのは2〜3名。
チームでのワークで大切になるのが「モチベーションが下がる状況を作らないこと」です。
4名以上だと必ず連絡をしなかったり、作業をしなかったり、見てるだけの人が生まれます。
学生たちが主体性を持ってモチベーションが高くなくても続けられる人数が3名までといいうことです。

④学生たちの集中力は50分

作業時間も今期は実験的に行なっていることがあります。
授業時間は3時間です。
3時間一つの課題に取り組むのも良いのですが、今期は1時間を3コマに分けて、1コマずつ別の課題、別のチームで取り組んで頂きました。
1人で負荷を抱えると悪いストレスなのですが、チームでの負荷はモチベーションになります。
高校の部活が良い例ですね。
学生たちは同じ課題を継続した場合、60分あたりで集中力がなくなります。
スマホを触ったり友達に話しかけたり始めますし、一度切れた集中力が元に戻るには最低30分程度必要です。
高い集中力の状態であえて切り、別課題、別チームへ〜と言った流れです。
(終わった時学生たちはクタクタですが良い疲労感だと思います)

⑤学生たちはスケジュール管理が苦手

と、同時にタスク管理も苦手です。
ここでやっと講師の僕の出番です。
毎回の授業で問題点や進捗を聞いていきます。
最終的なゴール設定はもちろんですが、細かな目標設定が非常に大切になってきます。
マラソンの給水ポイントですね。
毎回の授業でスケジュールの進捗と今日のタスクを共有していくことで、やることが明確になることと、迷いが消えていきます。
学生たちに最も必要なのは達成感と考えています。
達成感が結果的に自信にも繋がり、その自信が卒業したあとの数年間、学生たちを支えるものになるのではと考えます。

最後に

冒頭にリスペクトはないと書きましたが、そんなことはなく最初なかったリスペクトもしっかりとコミュニケーションを測ればお互いのリスペクトが生まれていきます。
それともう一つ、今回書いているのは稀にいる異常にモチベーションの高い学生を対象にしたものではなく、それ以外の「それなりに頑張る」モチベーションの学生たちを対象にしたものです。
「それなり」の学生もチームディスカッションベースの授業構成だと学びや技術の以前に「楽しさ」が勝つため、頑張るという不安定なモチベーションに頼らなくても良くなります。
僕が考える講師像は「仕組みを提供する人」と考えているため、「俺の話を聞け」のスタイルの講師の方とは話が噛み合いません。
とは言え、学生と共に半年過ごしてきて非常に良い感触があります。
残りの半年も継続してみようと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?