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自費リハビリの良さ

自費の理学療法士さんに加え、作業療法士さんのところにも通い始め
「自費リハビリってすごい」
改めてそう思いました。

病院のリハビリと何が違うのかな?そんなことをつらつら考えてみました。

リハビリの前に行われること

自費のリハビリに行って最初に行われることはヒアリングです。
"困っていることは何か"
"やりたいことは何か"
スタートはそこからです。

それから現在の私の状態が評価され
"これができるようになれば困らなくなる"
"これが出来たらやれるようになる"
という説明が行われます。

そしてそのために
"こういうリハビリをしましょう"
という提案がなされます。

この過程があってリハビリが始まります。

スタート地点とゴール地点がわかり、ゴールを目指すために必要なことがはっきりしているので納得した上でのリハビリとなります。

問いかけの大切さ

患者の側からは何が大切な情報かわからないので、聞かれないと口にしない事もあると思います。

入院中、朝に立ちくらみを起こしたけれど必要な情報と思っておらずそのままリハビリを受けた事がありました。

いつも通り40分のリハビリを行い20分自転車を漕いで降りようとした瞬間に何だかふわっとした気がしてそのことを思い出し
「そういえば今朝立ちくらみしたんですよ」
と療法士さんに話しました。

すると
「今言う?リハビリ終わった今になってそれ言う?」
と呆れられた事がありました。

私としては
「いやいや、そんな大事なことと思わなかったし‥」
という感じだったのですが、リハビリをする上では必要な情報だったのだと後から思いました。

入院中は毎日リハビリがあったので体調について尋ねる必要がなかったのだと思いますが、聞かれないと言わないことってあるように思います。

その点、自費のリハビリでは
「今日の体調はどうか」
「前回から何か変化はあったか」
と訊ねられるので思いつくことは話すようになりました。

また、前回から間隔が空いていたり高次脳機能障害のため思い出せないことがもありましたが
「日々の変化や気がついたことをノートにメモしておいて下さい」
と助言を受けたおかげで忘れず質問や相談ができるようになりました。

患者の側から「言うべきことなのか否か」の判断がつかず言い出しにくいことや、言い忘れてしまうことの防止にもなるので
「今日の調子はどうですか?」
と聞いてもらえて助かっています。

問い方の重要性

また、"問いかけられ方"というのもとても大切だと思う様になりました。

痛みが出たときには
「痛みが出る前と出た後で変わったことは何かありましたか?」
そう聞かれます。

病院で高次脳機能障害のリハビリをしていた時、宿題のプリントを出し入れするばかりでどうしても進められず自費リハの療法士さんに相談した際には
「宿題ができている時と出来ていない時の違いはありますか?」
そう聞かれました。

こういったことが繰り返されたことで、何かが起きた時には
"前後で何か変わったことは無かったかな?"
と考えるようになりました。

"何か変わった点はありますか?"
常にそういう問われ方をされたおかげで自身の変化に目を向けられるようになりました。

分析と丁寧な説明

変化は何だろう?自分でそう考える癖はついても、何が原因であるかはわからないことがほとんどです。

階段を降りる際に足がひっかかって落ちそうになる。
それも麻痺のある左足ではなく、右足を下ろそうとしたときに段差に踵が引っかかってしまう。

これは回復期でもあったことでした。が、その時は
「落ちないように気を付けて下さい」
そう言われただけでした。

けれども自費リハでは、実際に階段を降りる所を見てもらい、原因を分析して理由を説明してもらえました。
何にどう気を付けたらいいのかを具体的に教えてもらえるので階段を降りる際の不安が減りました。

リハビリ内容の説明

リハビリの内容説明もとても丁寧です。

リハビリの中の動作一つ一つがどういう意味をもち、それを訓練することでどんな事ができる様になるのか。そして私のやりたいことにどう繋がって行くのか。

順序立てて説明してもらえることでリハビリが納得して行え、意欲に繋がります。

これは一体なんのためにやっているのか?
意味や意義を理解しないまま行うより効率が良いと思います。

自費リハビリの良さ

これはなんと言っても期限や回数の制限がないことだと思います。お金さえ出せば週に何度でも何年でも通うことが出来ます。
でもそんな恵まれた人がどれくらいいるのでしょうか?自費に通いながらお金の問題は大きいと感じています。

ただ、私自身は急性期から"そのまま家に帰れなくはない"という状態でした。
今ならば、回復期には行かずに自宅から自費リハビリに通うという選択肢を取ると思います。

前回のブログにも書きましたが
'私らしい生活が送れるようにするためのリハビリ”
が行われていると実感出来たのは自費リハビリに通ってからです。

回復期は保険は効きますが、入院費用は当然かかります。回復期でかかった費用で自宅から自費リハに通い、あの時点から左手のリハビリを行っていたら何かが変わっていたのではないか?

たらればではありますが、自費リハに通って納得いくリハビリを受ければ受けるほどその思いが強くなります。

病気になる前の私の生活は運動が中心ではありませんでした。刺繍をしボランティア活動に勤しむ。これが私らしい生活でした。

回復期で勧められたジム通いは身体を健康にしてくれるかもしれませんが、私の心を満たしてはくれません。

今は刺繍や音訳はどんなことをするのか具体的に聞かれた上で、必要な対策方法を教えて貰ったりリハビリをして貰っています。

巧緻運動障害や高次脳機能障害がありつつも何とか刺繍や音訳ができないかと熱心に考えて下さることがとても嬉しいです。

良いセラピストとは

先日、当事者かつ理学療法士さんである小林純也さんがイベントで
「良いセラピストとは当事者より可能性を信じている人である」
と話されていました。

音訳への思いは何度も手放そうとし、諦めようとして来ました。
「音訳は高次脳機能障害があるから難しいでしょうね」
通っていた病院で言語聴覚士の方に言われました。

そんな経緯から
「音訳はもう諦めます」
そう宣言した私に

「いつか音訳に戻れたらという気持ちは大切にして下さい」
自費リハの理学療法士さんが言葉をかけて下さいました。

この方は、私よりも可能性を信じており、私よりも先に諦めることはないのだろうなと思っています。

患者の側が
「諦めることと諦めないこと」
この狭間で揺れ動くことは多々あると思います。私の音訳への想いがまさにそうです。

そんな私の揺れ動く気持ちにプレッシャーを与えないように気遣いながらも、療法士さんの側が諦めることなく可能性を信じてくれることは有り難いことだと改めて感じています。

私は自費でしか出会うことは出来なかったけれど、1人でも多くの患者が当事者よりも可能性を信じる療法士さんと病院の場で出会えることを願いたいと思います。