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週一回、40分のリハビリで良くなる?

第7回zoom勉強会は、週一回40分の訪問リハビリでよくなるかどうかがテーマでした。
訪問のリハビリを受けたことがない私には関係のない話なのですが、医療者の方々のお話を聞くのが楽しみで参加させていただきました。


よくなるとは?

勉強会の中でも話題になっていましたが、"よくなる"ってどういうことでしょう?

病気や怪我の治癒とは意味が異なると思うので、現状に比べてちょっとでも改善すれば"よくなる"ということでしょうか?

退院時に言われた"日常生活に支障はありません"の言葉。
医療従事者が思い描く日常生活と患者が思う日常生活に乖離があると感じたことを以前ブログに書きました。

同じようなことが"よくなる"という言葉においても見られるのではないでしょうか?

回復期退院後、整形外科のリハビリで療法士の方に
「麻痺が良くなる可能性があるので自費リハビリを探しては?」
と勧められました。

そして自費リハについて回復期の担当療法士の方に相談したら
「麻痺が良くなると言われて麻痺が治ると思ってるでしょう?」
と言われたことを思い出しました。

まさにその通りで、療法士さんの言う「麻痺が良くなる」は私の中では「麻痺が治る」に変換されていました。

今回の勉強会は主に医療従事者同士の意見交換でしたが、それでも「よくなる」のイメージは統一されたものではなかったように思います。

であれば医療者サイドと患者サイドで「よくなる」の捉え方が異なっていても仕方がない気がします。
だから、医療従事者の方には、自分たちと患者では言葉の捉え方が同じとは限らないことを意識してもらえたらと思います。

自主トレに代わる何かでも‥

週1回、40分のリハビリで成果を出すためには、自主トレが必要との意見がありました。ただ、自主トレはやらない人が多いと。どうしてなのでしょう?

訪問と自費では意欲に差があるという話もありましたが、訪問は保険が使えるとはいえ無料という訳ではないのに、そういう意欲のない患者さんは何が目的でリハビリをしているのかなと疑問に思いました。

回復期にいるときに突然、違う時間に療法士さんが来たことがありました。本当は別の患者さんのリハビリが入っていたけれどやりたくないということで中止になり、急遽その時間に私のリハビリをすることになったとのことでした。

そのとき療法士さんが
「あいつ、いつもやる気ないんだよ」と言いました。
"私も裏ではあいつと呼ばれているのかな?"とちょっと嫌な気分になったと同時に、"やる気を出させるのも療法士さんの仕事では?"と思いました。

勿論やる気を出させるなんて簡単なことではないのだろうと思います。
けれども、"いつもあの患者はやる気がない"と言って終わるのではなく、"どうしたらやる気を引き出せるのだろうか?引き出せないのは自分の力不足なんだろうか?"そんな風に考える療法士さんに私はリハビリをしてもらいたいと思います。

それから、動きやすい環境を整えることで活動量があがり筋力アップにつながるのであれば、私はそれはむしろ自然な形の自主トレのように感じます。

生活期に入ってからのトレーニングは意識の高い人でなければなかなか続かないのが実情かと思います。であれば、自分にあった、トレーニングに代わる何かがあれば、辛くなく長続きもしてかえって良いのではないかと思います。

声かけの仕方

"トイレの練習が上手くできれば家に帰れますよ"
"トイレの練習が上手く出来なければ家に帰れませんよ"

同じ声かけでも肯定的なものと否定的なものがありますが、否定的な声掛けであっても意欲の向上を示したものが多かったという話が面白いと思いました。

何となくですが肯定的な方が圧倒的に意欲って向上するのではないかと思っていたからです。
これは個々の性格や、同じ人物であっても時と場合によっても異なるような気がします。

ただ、どちらの声掛けも有効であるならば、性格や状況によってどちらがいいかを考えて声をかける医療従事者はどのくらいいるのでしょうか?

医師の場合は、まず個々の性格を理解するほど患者と接する時間はないと思います。看護師さんも医師よりは接する時間は多いかもしれませんが、それでも1人の患者とゆっくり話す暇はなさそうです。やはり時間的には療法士さんが最も患者と接しているのではないでしょうか?

回復期で言えば、1人の療法士さんと一日40分から60分、毎日リハビリをします。リハビリ室への行き帰り、そしてリハビリをしながら話すことも多いです。

けれども、患者の性格を考えた上で、いつ、どのような言い方が効果的であるかまで考えて声かけできる人は多くはなさそうな気がします。

まとめ

週に1度40分のリハビリで良くなるかどうかは、どれだけ患者に関心を持って関わるかによる所もあるのかな?と勉強会に参加して思いました。

勿論、患者サイドとしての感じ方ですので、医療サイドからみたら"医療従事者側の問題としないで欲しい"というご意見もあることと思います。

ただ、週に一度40分のリハビリであっても、目の前の患者がどういう環境でどういったことならばリハビリの時間外に継続してできるのか。どういう声掛けならば意欲が湧くのか。
そういう目線でアプローチしたならば、効果がある人も多いのではないでしょうか?

自費のリハビリに来ている人は、自費を払ってでもリハビリをしたいという人なのでモチベーションが高い人が多いというお話がありましたが、それは自費の療法士さんが、患者さんが自費を払って来てくれているのだからという意識でリハビリをしているからもあるのではないかと思います。

保険診療の医療従事者の方が皆、患者に関心を持っていないと言いたい訳ではありません。けれども関心がない人も一定数いるような気がします。

自費の場合は競う相手は他の自費施設だけではなく、料金的には圧倒的に優位な保険診療の施設とも競わなければなりません。だからこそ真剣に患者と向き合っているように感じます。

自費のリハビリは当然ですが誰もが受けられる訳ではありません。だからこそ、保険で受けられる期間はどこの施設へ行っても、どの療法士に当たっても、同じ水準のリハビリが受けられるようになるといいなと思っています。