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【企画物語】子どもが輝く接し方の極意 ~不登校児童を救う『ろりぽっぷ学園』学園長が語る~

仙台市で認定こども園や学童保育、小規模保育園を運営するろりぽっぷ学園の加茂光孝学園長にご登壇いただいた。

「自分が大好き、そして人が大好きなんですよ。」と満面の笑みで語り始めた瞬間、その場にいた誰もがファンになるような魅力いっぱいのお人柄。
その加茂さんの口から発せられる、常に『子どもを中心』とした教育論を熱く語る姿に魅了された1時間半だった。

1.子どもには、自ら育つ力がある

昨年、2021年度の小中学生の不登校は約24.5万人であるという文部科学省の調査結果が発表された。

これは、それだけの数の子どもとその保護者が苦しんでいることを示している。苦しんでいる子ども達を救う手立てはないのか。
そんな中、全国で24校設置されている不登校特例校の1つとして、今年4月に開校したろりぽっぷ小学校に興味をもった。

なぜなら、ろりぽっぷ学園は、仙台で認定こども園等を運営する幼児教育を専門としている所だからだ。幼保小連携の大切さが叫ばれている現在、幼保の教育が義務教育への道しるべになるのではないかとひそかに感じていた。遊びこむなかで、学びを展開する。幼児教育で培われているこの視点が、不登校解消に向けた何かのきっかけになるのではないか考えた。

この漠然とした考えは、加茂学園長の話を聞くにつれ、確信へと変わっていった。子ども一人一人をどう捉えているのかという教師の「子ども観」。今回の講演は、自分自身の「子ども観」と向き合う時間の連続であった。

2.子どもたちのために何ができるか

「先生、うちの子、学校に行けてないんだよね。いじめとかじゃないんだよ。理由なんてわからないんだよね。学校法人なんだから、学校を作ってよ。」
卒園した保護者たちが発した心の叫びが、加茂学園長の耳に届く。

輝いていた子供たちのため、悩んでいる保護者のために何かできないか。
個別的な学びや協働的な学びは、既に幼児教育の中でやっている。だったら、小学校も作れるのではないか。

加茂学園長の思いは、実現に向けて動き出す。それは、学校を作るまでに乗り越えなければならない障壁との闘いの始まりだった。
しかし、話を聞いていると、その障壁は、加茂学園長の思いの前には、意味をなさないことを知った。

世の中を変えたい人間にとって、障壁は自分の本気度を高めるモチベーションに変わっていく。そして、仲間が増えていくきっかけに変わっていくのだろう。
閉校した仙台市立岩沼小学校の利活用が認められ、昨年9月からフリースクール。今年の4月から不登校特例校として小学校が開校した。

開校までは、きっと、様々な苦労があったことだろう。
だが、加茂学園長から語られる内容は、「子どもの心に寄り添い、子ども一人一人がどう育ちたいのか」という視点だけだった。それが印象的であり、心に残った。
「公立校にしようか、ろりぽっぷ小学校にしようかというように、子どもたちが学び方を選択できる場所を作りたかった。社会に出た時に、安心して能力を発揮できる子どもを育てたいし、ろりぽっぷ小学校を卒業したから、どんな社会でも未来を切り開く人財になったよねとして言われるようにしていきたい。」 
この言葉に、全てが詰まっているように感じた。

信念に向かって突き進む覚悟と行動力が伴っている人は、軸がぶれない。
加茂学園長が描く小学校に向かって、関わったみんなが応援し、付いていくのだろう。

3.98%以上

ろりぽっぷ学園の理念は、全ての教員に浸透している。
今回の講演内容は、学園の理念「大人も子どもも尊敬し合い 輝く未来を創っていく」に帰結していた。

自分の得意・不得意を活かしながら、これから先の人生をよりよく生きるための課題解決の力を、ろりぽっぷ小学校の学びで培えるよう、新しい学び方を子どもたち・保護者の方と共に創り上げていく。この言葉通り、学校の教育活動は、全て「自己選択・自己決定・自己対応」できるように組まれていた。

子どもに対する教員の言葉かけも心を揺さぶった。
それは、「頑張りすぎて苦しくなるときは、休みながら自分のペースを大切に!」「そのままでいいんだよ。」
子どもと保護者にとって、それは心理的安全性を保てる魔法の言葉だろう。一歩一歩、その子のペースで。

「個別最適な学びの展開は、すごく大変だけど、先生たちは楽しんでいる。」この言葉に、加茂学園長が教員を信頼し、全職員で子ども一人一人がどう育ちたいのかを支えていることが伝わってきた。
毎日、子どもの帰った学校では、カンファレンスという名で、一人一人の子どもの育ちを教員全員で共有している。

公立学校の生活の中で、何かが嫌で学校に行かなくなった子どもたちは、今、ろりぽっぷ小学校への登校率98%以上(欠席は風邪等のみ)という姿に変わった。
学校が好きになり、学ぶことがが好きなっているということだ。

本来、知的好奇心は、人間の本能として備わっている。気になることは学びたい、新たな知識を獲得することは楽しい。この体験を子どものうちから提供できるかどうかは、環境次第である。

ろりぽっふ小学校での子どもの姿は、私たちに何かを問いかけているように感じた。

4.最後に

ろりぽっぷ学園のやらなければいけないこととして、4つを語ってくれた。
①小学校「カリキュラム」の研究  ②R7中学校開校に向けた「職員募集」
③「私立」不登校特例校の連携   ④寄付の募集

すでに、次のステージに向け動き始めている。
①と②は、学園の理念を共有した先生の確保と教育の質の向上。
③と④は、全ての子どもが義務教育として、お金を気にせず学校を選択できる権利の獲得。やはり、全ては子ども一人一人のためにである。

「大人も子どもも尊敬し合い 輝く未来を創っていく」 
この理念に共感しない者はいないだろう。

加茂学園長の行動の源には、中村文昭氏の言葉である「頼まれごとは、試されごと。」「人の予想を上回れ。」があるという。
これからの私たちの行動指針に、示唆を与えてくれると感じたのではないだろうか。

全ては、子ども一人一人のために!

written by マッサン@学校chools


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