【授業の成功】
教師である皆さんにとって、“授業の成功”ってどんな場面でしょうか?


例えば
・授業したことを参加した子どもたち全員が分かるようになったとき
・発問に対して、子どもが生き生きと考えたとき
・勉強や運動が苦手な子が活躍したとき
・プラン通りの授業になったとき
・滞りなく授業が進んだとき


先生によって“授業の成功”は異なると思います。


私自身も自らを振り返ると様々なことを思い出します。
自分なりに「今日の授業は上手くいった!」と思っても、子どもがあまり理解していなかったこともありました。
逆に手ごたえのない授業後に、子どもたちが「今日の授業めっちゃ楽しかった!」と笑顔で来てくれたこともありました。


教師が授業を成功したと思っても、子ども目線ではそうでもなかったり、逆に教師が失敗したと思った授業が、子どもにヒットしていたりすることもあります。


じゃあ授業の成功ってなんだろう?


私自身は授業中の子どもたちの生き生きと活動に励む姿が見られ、内容も定着していることが1つだと思います。
そして最近は、【授業後に子どもが熱中している】こと。
これも授業の成功の1つだなとかんじるようになりました。


【実例1:「先生、教材つくってみました」】
・Sくん


Sくんは隣のクラスの男の子。パソコン部に所属しており、タブレットをさわることが大好きです。「今は使うときではありません」とよく叱られています。
Sくんは数学が得意です。
今学期、1次関数のグラフを利用して、富士山6合目の気温を予測するという授業を行いました。
何の変哲もない授業でしたが、Sくんにとっては最高の思考の時間だったようで、複数の解法で答えを導きました。


そして翌日のことです。
「先生、こんなの作ってみました」とタブレットを見せに来てくれたSくん。
すると、観測地点を入力すると自動的に式が表れ、気温が分かるというプログラミングでした。めっちゃすごかったです。
各クラスに伝えると、歓喜の嵐。
本人の許可をとり、Google Classroomで共有。
誰もが使える共有ツールとなりました。


「先生、こんなツール欲しいというのがあったら言ってください」とSくん。
その後も、数学ツールをいくつか作り、私の教材係となってくれつつあります。


【実例2:道徳で紹介した人を自学にまとめる】
・Hくん


私は強制的な自学ノートはさせません。
学校によっては、毎日1ページ“自主”学習をさせて、提出を義務づけているところもあるようです。


ある日の道徳の授業。
中村哲さんを扱いました。
中村さんは医師です。アフガニスタンに派遣され、現地の人の診察にあたっていましたが、アフガニスタンの深刻な水不足を目の当たりにし、7年間の歳月をかけ、24kmの水路を完成させた人です。
水路を作る知識はないため、高校1年生の数学から学びなおしたり、専門家を訪れたり、重機の免許をとったりと動き回りました。
現地では銃撃を受けたり、テロリストに同志を殺されたり、家族と死別したりしましたが、アフガニスタンのために力を注ぎ、水路を完成させます。
この水路により、食料が採れ、経済が回り、傭兵が減り、紛争も激減しました。
アフガニスタンの大統領から表彰を受けますが、2年前のこの時期に殺害されました。


授業を終えた数週間後、新聞で中村さんの記事が出ていたようです。(11/28.29朝日新聞)
それを観たHくんが新聞の記事を切り抜き、ノートに貼り、2ページにわたってまとめ、提出してくれました。
その後Hくんは書籍を読み、さらに中村さんについて深く学ぼうとしています。


学びたいものを学ぶ。これぞ自学なのかなと思いました。


【授業後の子どもたち】
これ以外にも授業で扱った数学の問題を昼休みに輪になってああだこうだ言っている姿を見られたり、塾で習った高校の内容を中2の内容で証明している猛者が出現したりしました(nCr=nCr-1となる理由を1次関数を利用して証明)。


授業後まで子どもたちに火がついた状態にできることは、私の力不足でそう多くはありません。
ただ、こういった姿が自分の授業の1つのフィードバックにもなります。
そして意外と入念に準備した授業のときはこの現象にならないので、授業って難しいなとつくづく思います。


ぜひこのサロンの先生たちの授業も見てみたいと思う今日のこの頃です。

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