【企画物語】世界の戦争・平和について学級の子供たちと考える
1.なぜこの企画をしようと思ったのか?
世界で「今」起きている戦争がいつの間にか遠い国で起きている他人事になってきていることを感じたからです。
ロシアが侵攻を開始したのは2022年2月24日。今から約1年半前です。当時、現代社会でこのようなことが起こり得てしまうのかと固唾をのんでニュースを観ていました。教室でも職員室でも戦争の話題。皆の関心事になっていました。
今はどうでしょう。変わらず戦争は続いており情報は度々入ってきますが、どこか「遠い国で起きていること」のように感じる人が増えてきているのではないでしょうか。私自身がまさにそうでした。
今起きていることをしっかり見つめないといけない。教育に携わる身として、子供たちとこの問題について一緒に考える必要がある。
でも、どうすればいいか分からない。何から始めればいいか分からない。
そう考える先生もきっと多いのではないでしょうか。
2.とあるワークショップでの出会い
そんな時に出会ったのが、国際理解教育ファシリテーターの三田景子さんでした。三田さんは元協力隊員でもあり、学校や国際交流団体など約50か所で国際理解教育ワークショップを企画・実施してきた方です。
とある対面型イベントで、私は三田さんのワークショップを実体験しました。
これほど戦争と平和について考えたことがあっただろうか。
こんな手法があるのか。きっと子供たちはうんと考えるだろうな。
一参加者として学ばせてもらうと同時に、三田さんが手がける参加型学習を知ることで、課題意識のある先生たちの行動につなげることができるのではないかと考えました。
3.イベントを迎えて
参加者の参加動機に目を通します。
平和教育に取り組みたいが自分の中でイメージがつきにくく、勉強したいと思うー。
子ども達に戦争についてどのように伝えればよいかを勉強したいー。
戦争のことについて、子どもたちと一緒に考えたいとは、おもっていても、提示の仕方や言葉選びに躊躇してしまう自分がいる。今セミナーでしっかり学びたいー。
全国には平和教育に対する悩みや葛藤があったり、行動の具体を知りたいと思っていたりする先生方がいることを知り、胸が熱くなりました。と同時に、会を成功させたいと強く思いました。
4.会を終えて
普段は対面で行っているという参加型学習をオンラインで行うという、講師の方にとってもチャレンジングな内容でしたが、会は無事に終了。
児童生徒の立場に立って、体験しながら学ぶ参加者の方々の真剣な雰囲気。グループ対話を終えるたびに、打ち解けたような明るい表情になると同時に、考え抜いて疲れていく表情。それらを見て、この企画をやってよかったと思いました。
以下、参加者の感想を載せます。
・戦争と平和という非常に重たいテーマであったが、事例がわかりやすく、つい自分が言いたくなることだった。国防や命について、一人一人の価値観って、こんなに違うのかと知って驚いた。87年間、戦争がないこの日本に住んでいるのにも関わらずである。戦争はしてもよい、ということについては当然NOだと思っていたが、YESと言っている小学校の先生もいて、正直、「オイ!」と突っ込みたくなったが、これが現実なのだと知った。非常に学びが多い時間であった。
・正直、他人事としてしか考えなかった戦争を「家族のためなら」「大統領なら」「隣国の立場なら」という三つの立場から、多面的に考えることができました。そして、それらは、個人レベル、国家レベル、国際社会レベルという立場であり、それぞれに正義が異なることにも気付きました。
・「戦争を選ばない世界を選択すること」三田さんのワークショップを通して、1冊の絵本が浮かびました。たにかわしゅんたろうさんの「戦争と平和」です。』最後のページは、水平線があり、互いの国が繋がっている、太陽がどちらの国も同じよう分け隔てなく照らしている。後半は、「あなたにとって、大切なもの、自分を証明するもの」を考えたり、「スパゲティの木」の動画を見たりしたあとに、「平和」について考えました。そして、平和への取組も様々で、実現可能なことがいくつもありました。ものすごく、盛り上がったとお聞きして、三田さんからの学びを現場でチャレンジしたいと感じています。
・国語の戦争単元に関連して、自分事として戦争を考えられるような活動のヒントをいただきたく参加しました。物語に入り込んで自分の思いを深めるには、まずは戦争の惨禍を知ることが大切だと思っています。私自身祖母の話を聞く程度で、「戦争を知っている」とは決して言えませんが、戦争に馴染みのない年代が増えていく今日、少しでも自分事として平和について考えられるような学びの場をつくりたいと感じました。今回は特に、原爆について考えていきたいので、さっそく戦争と平和のカードゲームをやってみたいです。アクティビティを通して自分の大切なものを失うような疑似体験をしたり、自分でない誰かの立場になったりすることが、自分自身の思いを広げるきっかけになることを感じた2時間でした。ありがとうございました。
・様々な立場に立って具体的に考えることができるワークショップでした。入り込んで、揺さぶられて、が繰り返されて、気づきが多い時間でした。参加された先生方が子どもたちと実施したとき、子どもたちがどんな反応を見せるのか、見てみたいなと思いました。ぜひやってほしいです!
・平和教育に関して非常に実りあるセミナーをありがとうございました。実践例が少ない中、今回のような内容は貴重で大変勉強になりました。
感想からも、参加者の熱を感じました。
教室から始まる平和への第一歩。
子供たちと教師で紡ぐ平和への第一歩。
私たちにできることはきっとあるはず。
そう銘打って企画したこのイベントが、少人数ながらも全国の方に届いたことに、大きな喜びを感じています。
参加者のみなさん、講師の三田景子さん、本当にありがとうございました。
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