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 みなさん、今読んでいるこのnoteの記事を何を媒体にして読んでますか?
 
 スマホ、もしくはタブレットで読んでいる方がほとんどではないでしょうか。 

 そのスマホを、今自分の意志でポケットから取り出したとお思いでしょうが、それはちょっと違います。少しセンセーショナルな表現になってしまいますが、私たちの脳はハッキングされて、スマホを取り出されてしまっているのです。
 
 この現代ではなくてはならない超便利なスマホですが、現在スマホを使用する時間は、一日平均4時間で10代20代の2割は7時間もスマホやメディアに時間を費やしています。
 それによる悪影響が睡眠障害、うつ、学力低下などなどの現象で表出してきています。
 
 自分が保育士時代に、必ず「愛着」「絵本」「メディアとの付き合い方」の3つを保護者会等で保護者の方にお話してきました。今回はこの中のメディアに関すること、今でいえばスマホとの付き合い方を投稿します。
 
メディアによる弊害(事例)
  ある3歳児がけいれんを起こして、救急車で運ばれた事例でその子はビデオを繰り返し見すぎた結果、けいれんを起こし救急車で運ばれてきました。その子は1歳を過ぎたころから自分でテレビを操作するようになり、繰り返し見ていました。さらに、長時間じっと見ていたので、両親、祖父母は「うちの子は集中力が優れてすごい子だ」誤解していたそうです。このような事例が増えてきています。

過剰な映像メディア漬けがもたらす4つの弊害
 スマホ・ゲーム・タブレット等の電子メディアが子どもにとって「心身の成長発達を脅かしかねない重要な問題」につながっています。
 
  「親子の絆が希薄なまま時間が過ぎていく」
 親子一緒にテレビを見ていても親子がお互いの顔を見ながらおしゃべりをすることの代わりにはなりません。
高学年が描いた「家族と囲む食卓の絵」一人ひとり特徴はなく 記号のよう絵しか描けない子どもが急増しているとのことで、それはなぜか、
テレビをつけながら、食べるからです。
家族というのは本来、食事のときには食卓を囲んでお互いの顔をながめあい、おしゃべりをしながら食べることで絆を強めるのです。しかし、食卓の一角にテレビが入りこむと、特に見たいと思っていなくても、光や動きや音が、目と耳に飛び込んでくれば、そっちに注意を奪われてしまいます。会話はとだえ、お互いの顔を見ることもなくなり、その結果家族の顔を描けと言われても、描けなくなっています。
 この現象は稀ではなく、家族の記号化は増えてきています。1995年は人物の記号化は約20パーセントでしたが、2005年は40%に上昇しています。現在はさらに、増加していると思います。
 
  「社会力の土台が形成されない」
メディアの世界に長時間・長期間埋没して過ごす子どもたちは大人のふるまいや現実世界の様子をみておらず、大人を見て、まねて社会性を身に着けていくことができません。社会の土台づくりは赤ちゃんのときから始まります。大人や友達とあそび、大人の姿を見て、真似て「見立てごっこあそび」をしたり、けんかや仲直りをしたりしながら、年齢相応の発達をして、大人の社会へ出ていきます。
しかし、過剰なメディア漬けにより、心が年齢相応に成長していない、社会力が乏しい青年たちを作り出しています。その行きつく先が、ニートです。
 
  「心の発達に遅れが生じる」
 人間の脳(心)は現実体験を重ねることによって成長・成熟していきます。非現実体験である映像メディアに時間が奪われれば、現実体験はその分、減ることにより身体は年齢相応に発達しても、心の発達はそれに追いつかないということになります。身体だけは大人になっても、心は幼いままで、自分の気持ちが表現できなかったり、他者の気持ちが理解できなかったりする若者が増えているのは、そのためです。
 過剰なメディア漬けが与える影響の問題の一つは脳が年齢相応に発達しないことです。友達とのけんかや木登りの失敗などといった現実体験が人間の心の土台を形成し、成長させます。
 しかし、テレビ、ゲームの世界にいる時間が一日平均4時間の場合睡眠時間を差し引くと、現実的な体験が4分の1減る計算になります。
例えば、12歳の場合、四分の一に当たる3年分が減るということになり、身体は高学年でも心は小学校低学年なみにしか発達していなことになります。この計算だと20歳でも15歳程度ですので。思春期の少年で未熟な大人になることになります。

  「コミュニケーション」や「パーソナリティ」の問題の形成
 メディアに触れているときの脳は「集中する、考える」といった人間として大切な前の脳(前頭葉)が活動していません。後ろの脳(後頭葉)でだけ活動しているのはヘビやカエルです。つまり、長時間テレビをみたり、ゲームで遊んでばかりしていると、後頭葉中心の回路が強化され、ヘビやカエルと同じような状態で長時間過ごすことになります。それが続くと人間らしさを特徴づける前頭葉の機能が低下し、最終的にさまざまな人格障害等につながる危険性があるのです。
 メディア漬けによる弊害を説してきました。もちろん、メディアのいいところもあります。しかし、何でも度超えて与え過ぎてしまうと必ず、弊害が生まれるということです。まさしく、“過ぎたるは猶及ばざるが如し”です。
 
○現実体験・生活体験・感動体験を!
 絵本をいっしょに読んだり、公園で遊んだり、会話を楽しんだり、子どもたちと向き合うことが大切です。お子さんと一緒に遊んだり、できる期間は限られています。年齢が上がるにつれ友達とあそぶことが楽しくなってきます。乳幼児期にお子さんと一緒にかかわり、楽しむことが、ゆくゆくは、小学校、社会人の基礎となる、自己肯定感、社会性、やる気(意欲)を育みます。忙しい毎日だと思いますが、今、お子さんと向き合わずして、いつ向き合うかを少しでも意識していただけるとうれしいです。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました!
 
参考文献 
『メディアにむしばまれる子どもたち』 田澤雄作
『いま、子どもたちがあぶない!』   田澤雄作
『スマホ脳』  アンデシュ・ハンセン
 

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