通訳マッチングサービスがクラウドCRMを使って急成長してる話
「ちょっと想定してなかったんだけど、案件がすごい増えてるんです。手が回りきらないので、システム強化の相談させてください」
以前ご相談を受けたサンフランシスコに拠点を置く日系ベンチャーの通訳マッチング企業からの相談です。
ちょうど最初に相談を受けた頃にコロナ禍となり、彼らのクライアントである日本企業の米国出張はぱったりなくなったため、通訳者のマッチングと派遣を手掛けている彼らのビジネスは大打撃を受けていたはずでした。
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こんにちは。
ベンチャー、スタートアップ、中小企業専門に、ZOHOやSalesforceの運用支援をしている虹雲ワークスです。
この仕事をしていると、本当にさまざまな業種業態の方からクラウドCRMの活用について相談をお受けします。
世の中には、こんなにもたくさんのビジネスと、それぞれの顧客とのつながり方があるんだな、と仕事を超えた驚きや尊さを感じることもしばしばです。
そんな経験を、システム開発技術の話ではなく、ストーリーとして伝えられたらと思い、noteをはじめました。
(この話は実体験を基にしていますが、あくまでフィクションですのでそのつもりで読み物として楽しんでもらえたら幸いです。)
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改めてご相談を頂けて嬉しいと思うと同時に、「なぜ?」という思いも頭をよぎりました。
コロナ禍で減った日本企業の海外出張は、あっという間にオンラインミーティングに置き換わってしまい、当分(もしかしたらずっと)戻ることはないはずだからです。
オンラインミーティングになって、実は私たちのビジネスにはすごいポテンシャルがあることがわかったんです。
通訳派遣をやっていた頃って、通訳そのもののスキルよりも、出張者のガイド役として数日間行動を共にできることや、各地で行われる会議のために出張できるかどうかが重要だったんです。
だから、子育て世代の女性の方とかってどうしても難しくて通訳者の確保が大変だったんですが、オンラインミーティングになって、その障壁が一気になくなったんです。
これまで、企業のスケジュールに合わせて現地に確実に行ける通訳さんだけが仕事を得ていたのが、オンラインミーティングで自宅から参加できることになったので、女性を中心に通訳の働き方が大きく変わったとのこと。
そして、オンラインミーティングだからこそ、対面だと現場のニュアンスでうやむやになってしまうような、ちょっとした言葉の言い回しや正確さ、会話の間を読むリズム感の良さなど、力のある通訳者の需要はむしろ増えているんだそうです。
だから、今までよりも「通訳としての言語技術」や「得意とする専門分野」など、顧客の求めている通訳者としての力量にフォーカスしてマッチングビジネスを提供することで、決して減ってはいない「会議での意思疎通そのものの需要」に応えられるとのことでした。
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そんなこんなで、新たなニーズと通訳者の活躍の場を開拓したクライアントに、顧客管理、案件管理はもちろん、ウェブサイトからの問い合わせ対応の仕組みの整理や、チャット接客ツール、事前決済のためのクレジットカード連携、Zoom連携などを組み込んで、併せて、通訳者自身が自分で案件を探して応募できるポータル機能も組み込んだ、アフターコロナの通訳マッチングビジネスの成長を支えるシステムとして強化を行い、クライアントはしっかりビジネスを成長軌道に乗せることに成功しました。
まず顧客管理と案件管理をしっかり作りこんでいることが大前提ではありますが、顧客接点やパートナー接点を強化し、プロセスを自動化していくと、クラウドCRMが一気にビジネスプラットフォームとして自走しはじめます。
人々の働き方や生き方さえも大きく変えたコロナ禍でしたが、通訳の世界においては大きく可能性が広がったようです。
また、単純な翻訳はどんどんAIに置き換わっていくご時世であっても、専門性を踏まえた通訳、ニュアンスやエモーショナルな伝達が必要な通訳のように、人が介在することやコミュニケーションが成立することそのものに高い価値を置くものについては、むしろニーズが伸びています。
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ちなみに、冒頭の通訳マッチング会社は「通訳がリモートでできるなら、もう、俺らも別に家賃の高いサンフランシスコにオフィスを置いておく必要なくね?」ということに気づいたそうで、家賃が安く「ネクストシリコンバレー」として評価が上がっているテキサス州への引っ越しを考えているそうです。
コロナ禍は人の生活の場やビジネスの場さえも、変えていくのですね。
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