虹釜太郎のVIDEO AVANTURES  第一日

VIDEO AVANTURES 第一日

ランダムジャッロ。
「A Golden Armadillo on the Cold,Metal TableDirected by
Carlo SmelmiA photographer becomes the latest victim of a serial murderer who likes to kill in the style of a killer who terrorized the neighborhood several hundred years ago. An American woman is a witness to the the murder;and after several bloody murders,she discovers the criminal's identity;she uses her knowledge to force the maniac into an increasingly dangerous sexual power game...」や「The Salamander with One Red Eye Directed by Romano Pecorino A controversial writer is brutally raped and murdered in an old,abandoned warehouse. His sister seems to know a little too much about the the murder;and ultimately she finds herself implicated deeper and deeper in the crime,with no apparent way out. 」や「A Torn Photo in a Woman's Hands Directed by Umberto Umberti A young model finds a human torso which has been hacked up. An American nanny believes she may have seen something that would explain the the killing. She apparently discovers the culprit's identity. The fleeing suspect is accidentally killed;but in a shocking twist,it turns out the real criminal is someone nobody suspected...! 」などを次々やっているとあまりにキリがない。giallo generatorだ。 そろそろ現実世界に帰らないと… というわけで「VIDEO AVANTURES」の第1回というか第一日めは、

『Mulberry Street』(ジム・ミックル/2007)。

たまたまジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』(原題『The Dead Don't Die』/2019)を観た直後に本作を観たので、さすがに本物のゾンビ映画の魔力、くだらなさ、やさぐれさがまったく比較にならず。 とはいえ憤死するほど『デッド・ドント・ダイ』がひどいわけではなく。ゾンビ映画マニアを自称するすべてを察した警官も含めて街の住民が全滅する中あまりに何もまったくしないトム・ウェイツが生き延び、ティルダ・スウィントン演じる宇宙人が何事もなかったように宇宙に帰ってしまう(どこ行ったか知らない)のはよかった。 とはいえくだらなさが魔力を帯びて息も絶え絶えのゾンビ映画はやっぱり違う。 『Mulberry Street』は無意味にひたすらジョギングする中年男、異常に口うるさくゾンビにはたじたじ過ぎるのもいい加減にしろな最年長ジジイ、濃過ぎるそばかすと額の傷が印象的なひたすら移動する女、最後絶対助かると思ってまったく助からないバーの女、助かりそうで壮絶なまさかの落下死を遂げる緑服の黒人、ごっつく生存者を見捨てるオヤジなどが、ネズミたちをほったらかしにして皆まとめてほぼ全員が死ぬ。がその死ぬまでの圧縮した濃さとゆったりした男のジョギングと超高速なようでやはりゆっくりな緊急ジョギングが脳死で混交する。映画が終わった後にすぐにもう一回観よう。 冒頭のジョギングは中盤の緊急ダッシュなようでいてやはりジョギングかな走りにまさかの接続をし、主役かと思えたバーの女は救助しに来た車に乗った途端にまさかのゾンビ化をする。 他のゾンビ映画のようにいったんゆっくり対策を考えるかの猶予があまりに無さ過ぎるのだ。 911後のゾンビ映画としても、モニター映像などで911を感じさせながらも911映画ではもちろん無く、ジョギングがなぜか異様に際立つこの映画は、他のゾンビ映画と比べて演技している者たちの表情がみなそれぞれに違っている。 最年長ジジイのゾンビへのびびりもよくありそうな演技そうで、なかなか他のゾンビ映画ではここまであからさまにはビビらず、もっと激しくパニックになるばかりで。このジジイの静かなびびりやラストにくたばる顔傷女の力尽きも地上でくたばるオヤジ二人もみなどこか静かだ。映画自体のテンションは高くても彼らは静かな。 地下鉄は登場しないのに地下鉄パニックみたいなあまりの狭さのような圧迫感が全編漂う圧縮感とダスト。 観直すと冒頭の歌からのいきなり地下のネズミ、鏡を見て顔を歪める女といきなり飛行しはじめたヘリを見る男からの刀研ぎのやたらと続く断続音、路上脇に倒れて誰も気づかない女のスマホいや携帯の着信音の爛れた響き、断続しながら続く逆回転音(は苦手だがここでは効果的な)とサイレンの音の混じり具合など音仕事も緻密。そしてジョギングがいい。繰り返し観てしまう。

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