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魂の散歩道 はじめの一歩


あの時しか無かった。
あの瞬間しか無かった。

すべてのタイミングが集中したときの自分の素早さを褒めてあげたい。

 スーツケースに入れるものは、事前にイメージしていたから、日常に紛れ込ませておいた宝物を詰め込む作業は、すぐに終わった。あとは、靴を履いて玄関の扉を開いて、一歩踏み出す。そして、鍵を閉めるだけ。


いつか現れたてんてん生物



 小さなアトリエ。そこは、わたしが私にもどる唯一の時空間。もう二度と戻ることのない場所を少しだけ眺めて深呼吸する私を、犬と猫が見ていた。犬と猫だなんて、こんな呼び方をしたことは無かったのに、いま文字を綴りながら胸が熱くなってきた。名前は綴れない。文字がみえなくなるから。

 過去も未来も今しかなくて、だから今わたしは、あの日のあの場所から文字を綴っているのかもしれない。


わたしいろ

https://note.com/nijiirokotonoha/n/n0b8d7237bda4


 スーツケースは、次男の友人がくれたもの。いつか訪れる時間のためにスーツケースを買うなんてことをしたら、計画がバレてしまうかもしれない。本気で挑むゲーム、ノーミスでクリアしたい。スーツケースゲット計画。宇宙にオーダーしたら、あとは淡々と目の前のことをやり進める。そうすると閃きがやってきて、願いが叶うという技を使うことにしよう。

 当時、手話劇に出演を誘われて月に一度出かけるチャンスがあった。ここ数年、引きこもっていたけれど10年来の友人がチャンスをくれたのだ。彼女は手話パフォーマー。年に一度ぐらいしか連絡を取り合わないけれど、いつもベストタイミング。今回も久しぶりにメールが届いた。

「閃いたよ!出演者枠、あと一名、どう?出ない?」

私は、ほとんど手話ができない。だけど、彼女の誘いに乗ってしまった。彼女の閃きが輝いていたから。彼女を信頼していたから。
 手話劇の練習会場は、電車で一時間ぐらいの都会。わたしは聴こえすぎて聴こえないタイプで、人混みも苦手。街中の音が全て聞こえてしまう。特に地下鉄の音は恐ろしく、ほとんど利用しなかった。聴こえすぎて聴こえないということを知ったのは去年の夏。その時から、イヤーマフ(遮音イヤーヘッドフォン)と耳栓LIFEを始めていた。電車の切符を買うことも苦手だったけれど、ICOCAという便利グッズを知り、不安軽減で都会に行くことができた。家族は私が自分だけの時間をもつことに慣れ始め、見えない世界ではなく、人間らしい活動を喜んでいた。そして私に閃きがきたのだ。手話劇本番の日、衣装を運ぶためにスーツケースが必要だという理由を。すでに一人暮らしを始めていた次男が遊びに来たとき、ふと呟いてみた。

「スーツケースがあったら、衣装とか楽に運べるかなあ〜」

「あるで。あいつ、おいていったから、おかん使いや」

あいつとは、次男の友人。息子のように可愛い次男の友人よ、ありがとう。君が選んだ赤色は、私の勝負カラーだよ。初めての夜行バスに辿り着くまで持ち運びするには丁度いい大きさ。だけど、せいぜい二泊分の荷物しか入らない。描きためた絵も、コトノハを綴ったノートも、宇宙の記録も、大好きな靴も、置いていくしかない。つまり、わたしは二泊分ぐらいの荷物だけで家を出たということ。そして、予定より二年ぐらい早い出発だったから、用意できたお金は、77777円。ゾロ目だったのが笑えた。笑える自分がいるから大丈夫と思える自分にも笑えた。なんかわからんけど大丈夫という、なんかわからへんけどの感覚は大体正解だと知っている。

 夜行バスに乗るまでの時間、色々あった。お金が増える現象。そのおかげで缶コーヒーの予定を変更し、ホテルのサロンで優雅に過ごすことができたのだ。夕飯を食べても、お茶しても、お財布の中身が減らないんだから、面白い。
 さて夜行バスまで、あと二時間…。ふと周りを見てみると、まさかの光景。「このホテルは、宇宙ステーションだね」って、語り合ったソウルメイトが座っていた。目が合って二人同時に
「何してるの?」「何してるの?」
そして爆笑。
数年ぶりに再会した彼女は、
「過去お世話になった感謝と、魂の決断をした貴方に祝福をしたい」
そう言って御祝儀をくださった。

 夜行バスに乗った時、いただいた御祝儀をお財布の中に入れると、すでに増えていた額と合わせて22万円になっていたから、びっくり。天使は数字でメッセージを送るというけれど、ほんとユニークで笑えた。天使よ、緊張を和らげてくれてありがとう。

  静かにバスが走り出した。深く座り直して、カーテンの隙間を覗いてみると光の景色。いつも家族を優先して買いそびれていたアーモンドチョコを食べながら、離れていく景色に、ありがとうバイバイ。


 10年前、本当の自分で生きることを決心して辿り着いた今。想像を遥かに超える景色が待っていた。優しくて穏やかで心地いい。バスに揺られる私は、まだ知らないけれど。なんか分からんけど大丈夫って思ったのは、未来の私が伝えていたんだね。すべて大丈夫ということを。

島で見た空

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そもそも、必要な物は揃っているらしい。
これは本当のことだと、つくづく思う。
魂で生きると決めたら、ますますそのようになっていく。人との出会いも、お金も、環境も。



イヤイヤ来た記憶と共に
この地球で生きてきた
星のカケラの物語り
starseed chacha


お絵描きしたり奏でたり、chachaの夢へのサポートありがとうございます🌈✨✨✨chachaの響きが誰かの何かのきっかけになりますように、笑いは癒やしを届けます(๑´▽`๑)小さな響きを奏でる生き物chachaをこれからも応援よろしくお願いいたします✨みつけてくれてありがとう