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春水風 (はるみずかぜ)

震える肩を一人抱きしめる。

厳しい冬の日の強く冷たい風。

いとも簡単に飛ばされそうで、真っすぐ立っていられない。

非力な僕。

前を向こうとしても、今ここがどこなのかわからない。

そんなときに、目からあふれた水が地面にポトリと落ちた。

落ちた一筋の水は、じんわりと地面に広がる。

無機質な水に、強い情動が重なり合う。

立ち尽くす事もできない、眠りたい衝動にかられ

気を失いそうになる。

そんなときに、風が吹く。

その風に、ふと目が覚めて僕は、また立ち上がる

それは、あたたかな優しさを持つ風だった。

僕を包み込む風が、頬をなでる

陽の光が僕の頬に伝う、一筋の水のきらめきを映し出す。

長い冬の痛み抱いて、春風に、吹かれたい。

震える大切な誰かの肩を。

抱きしめる勇気が欲しいよ。

春の成分を含んだ、優しく、切なく、儚くて強い風のように。

そんな勇敢な戦士でありたいと願う。

あなたの心の中にある冷たい氷を溶かしてあげたい

このこの世界の端っこにたたずむ、あなたの背中を軽く

そして、優しく押してあげる

春風のような存在でありたい。

そう心から願った。

僕を包み込む風が、頬をなでる

陽の光が僕の頬に伝う、一筋の水のきらめきを映し出す。

長い冬の痛み抱いて、春風に、吹かれたい。

春の風を待つ待ち人達に届けたいものがあるんだ。

屈託ない笑顔と、優しい心と、春の匂い。

そんなものを柔らかな風に乗せて。

僕を包み込む風が、頬をなでる

陽の光が僕の頬に伝う、一筋の水のきらめきを映し出す。

長い冬の痛み抱いて、春風に、吹かれたい。





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