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余白だらけの短編小説


私はこの人のことが好きだ

そう勘違いしてしまうんじゃないかと思う程に
この作品に惹かれ、この作品を書いた人に興味を持った

たった6スクロールほどだろうか
たったこれだけの文章にこんなにも心奪われるとは思っても見なかった
スマートフォン1つでこんな作品に巡り逢えるなんて思っても見なかった

文章の好き嫌いが激しい私だが
この作品は妙に身体に染み渡ってきた


気持ちが先走るあまりこの作品と言いながらタイトルすら書いていない凡ミス

今日私がどうしても感想を書きたい作品は
「見知らぬミシル」さんが書かれた短編小説
「好きな人って辞書みたいだ」
についてだ


まずはこの短編小説を読んで欲しい
つべこべ言わずに読んで欲しい
読んだ人だけに私の感想を読んで欲しい
いや、私の感想なんか読まなくてもいいからこの作品を読んで貰えればいいとさえ思う

私はあの短編小説を書いた見知らぬミシルさんのように
短く美しく自分の想いを書けるほどの才能はない
長く拙くまどろっこしい言葉を並べていく
それでもこの気持ちが誰かに伝わればと思う
同じ想いでなくていい
読者が読者ごとにこの作品を味わって欲しい
なんて作者とは何の関係もない私が
余計なお世話を焼いている

せっかくの作品の世界観を壊さないよう気をつけながら感想を書いていこうと思う


もう何度この作品を読んだか自分でもわからない
初めて読んだ時の率直な感想は
「あぁー!良い話だった!好きな人の好きな人にはなれない世界なんて切ないなぁ。それでも好きな人の好きな人を好きで居られる僕って凄いなぁ」
と、いったようなまぁ何とも普通で何気ないものだった

読後、すぐに上記のような感想をツイートしたぐらいだ

だが感想のツイートをしてすぐに
「なんか違う」の感想がむくむくと湧いて止まらなくなった
「これは実はすごく冷たくて救いようのない残酷な話なんじゃないか?そもそも恋愛小説なのだろうか?」

もう一度noteを開く
ここからが「好き辞書沼」の始まりだった

主人公の性別
好きな人の性別
好きな人の好きな人の性別
登場人物の年齢
登場人物の感情、思考

私の知りたい事が何も描かれてないじゃないか
どこにも載っていないじゃないか
全然解らないじゃないか

なんてスカスカな文章なんだ
なんて無責任な文章なんだ
なのに何でこんなに心地がいいんだ

描かないことで生まれる物語の余白が絶妙で
知ろうとしない人は知らないままで読み込める
知りたい人だけが知ればいい
知ればいいと書いておいて正解はないのだけど


読者に許された、物語を紡ぐ自由が
最高に贅沢だった


良い話としてもこの話を読み込んだ
最低な話としてもこの話を読み込んだ
完結していない話としてもこの物語を読み込んだ

この物語に出てくる全員がサイコパスにも思えたし
この物語に出てくる全員がとても優しい人にも思えた

読めば読むほどわからなくなり
読めば読むほどわかりたくなる

好きな人って辞書みたいだ

この作品のタイトルのように
私はこれからも「好きな人って辞書みたいだ」
を通じて言葉の世界に連れていってもらう
そして言葉の深度と解像度を上げていく
そしてこの作品に出会う前よりも少し豊かになっているはずだ



作品の感想にもならない感想で申し訳ないが
少しでも多くの人の心にこの作品が届いて欲しい
この深く美しい余白だらけの短編小説に溺れて欲しい
そう願ってしまいます

余談ですが
私実はこの作品の感想を
著者である見知らぬミシルさん御本人にぶつけたことがあるのです
すごく失礼かと思ったのに、すごく喜んで下さって
持つべくして持っているプライドも誇りもあるのに
読者の意見や、感覚をどこまでも尊重してくれる方だからこそ
ここまで美しい作品になったのだと思います
文才も、人との距離感も、誇りと謙虚のバランスも、見知らぬミシルさんに憧れてなりません
どんな感想も許容して下さる見知らぬミシルさんに、皆様も是非新たな発見や感想を、発信してみてください
そしていつか私と「好き辞書」ファン同士として語りあってくれる人が出てきたら、なんて思ったりもします

自分の話からは随分と外れてしまいましたが
自分の想いを書き連ねられたので幸せな気持ちです。
色々なテイストのnoteを書いてみましたが
次はどんなnoteを書くのか
最近では自分が一番楽しみにしているのかも知れません。

それではこの辺で

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