夏のマシュマロ作文「暗黒の花と夜空の華」
ドン…ドンドン…
生ぬるい風が離れた祭囃子(まつりばやし)の音を乗せて肌を撫でる。
目的地までの道を祭り提灯が照らし、華やかな着物を着た人々が行き来している。
「お祭りだー!」
我らがお守りする主こと根暗いあ様もいつものお衣装ではなく華やかな着物を身に纏いカラコロと履き物を慣らしている。
いあ様を見失わぬよう足を動かし向かうは屋台の群れ。目を輝かせあっちにこっちに目をやりながらもんばんこ殿の形を模した巾着を握りしめているいあ様は今日も超絶可愛い。
「唐揚げ焼きそばお好み焼き…うーん悩んじゃうね、門番さん」
えへへと笑いかけてくれる姿に平常心を保つのもやっとだが、こちらもにこりと笑って同意する。
そう。祭りには多種多様の屋台が並んでいるのだ。
店によって味や具材を変えるところもあり、なかなか奥が深いのだ。
「あ、きゅうりの一本漬けあるじゃん!買ってくるね!」
夏祭りといえばこれっしょ!と言わんばかりに屋台へ向かい、自分の番を次かな?もう少しかな?と待つ姿が愛おしい。ボクはその間にかき氷とお面を買い、すぐさまいあ様の元へもどる。
「門番さんどこ行ってたの!?せっかく一緒に来てるんだから一緒に回ろう?」
「あ、またかき氷だ〜好きだね門番さん」
どうやら過去にもかき氷を齧っていたのを覚えていてくれたようだ。嬉しさで涙が出かねない。
しばらく屋台を回り、見渡しのいいテーブル付きのベンチを見つけて腰掛け、目の前に買ったものを並べてみる。
焼きそば唐揚げお好み焼きをはじめ、浅漬けきゅうり、フランクフルト、たこ焼きなど大量の食べ物が並ぶ。
「買いすぎちゃったかな…お祭りだとついつい買っちゃうね!なにから食べようかな〜」
「あ、飲み物買うの忘れてた!…て門番さん買ってきてくれてたの!?ありがとう!」
定番のラムネを買うのは忘れてしまっていたが、やはり外せないのが祭り定番ちょっとぬるいビールだ。それをいあ様に手渡し乾杯する。
「かんぱーーーぃんっく…んっ…くぁーー!効くねぇ!」
小さなお口で片手にビール、もう片手にきゅうりの一本漬けを手に盛り上がってきた。
祭り飯は素朴ながらこんなに美味しいのは何故だろうと話をしているところに『ドォン!!!!』と轟音が鳴り響く。
「わっ!花火!きれーだねー」
腹の底を揺らす炸裂音ののちに広がる夏の空を照らす大輪は2発3発と上がり、咲いては散り祭りを締めくくり始める。
あなたの方が綺麗ですよなんてクッサイ言葉をビールで飲み込みながら同意し花火に見惚れる姿を目に焼き付ける。
「絶対また来ようね門番さん!これからも、来年もずっと根暗のこと、守ってね!」
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出演:根暗いあ(https://x.com/nekuraia?s=21&t=UIIvmZHVb_nABEITMiV47g)
脚本:丹伊都ひより
読み上げられた配信
2:04:23〜
推しと夏祭りデート…したいよね…
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