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本屋に行くと読みたい本が多すぎて泣く女の晴れた休日。

星野源になりたいんよ、とずっと言っている。


天気が良かった。

午前中はテスト前の高校生と一緒に、ユークリッドの互除法を勉強した。
久しく乗っていなかった地下鉄を使う生活に変わって、中吊り広告にあった4月号のゼクシィについてくる婚姻届が東京リベンジャーズ柄なのを見て「どういう需要……!?」と思いながら、公共交通機関に乗るのもおもろいもんやな悪くない、とか思った。
家に帰って、昨日の残りのキーマカレーを温めて、陽の明るいうちにもう一度外に出た。

最近は大抵スニーカーにデニムを履いている。前からそうかもしれん。
どうせチャリに乗る生活なら、人生の一度でいいからおしゃれくさい自転車に乗ってみたくて、調子こいてミニベロを買った。昨日の夜はじめてスーパーに行って、安売りだからって人参とじゃがいもと玉ねぎの大袋と冷凍うどんとたまごと……エコバッグがパンパンになるくらいの買い物をしたら道もわからんのにハンドルと袋から手を離せないという悲劇に遭遇した。ママチャリはちゃんとママの需要に合わせて作られている。

そんなミニベロ(つべこべ言うたわりにメーカーはあまりにもベタすぎて恥ずかしいのでひみつ)を、明るい日差しの下に出動させたのが今日の午後。


最寄り駅と反対側の駅をもうすこしだけ越えて、ちいさな本屋とカフェの併設店に行った。
前にSNSで見てからずっと気になってた、大学の後輩の妹ちゃんの個展を観たかった。『Cute!』で幸福を感じたのはなんか久しぶりだった。手放しで、自由にあそぶみたいな時間が楽しいの、自分が久しく見向きもしなかっったコップに水が注がれるような感じだった。いつもだったらそういう中途半端なお金の使い方しないけど、どう使うかも決めずに150円の作品のステッカーシールをいちまいだけ買った。超かわいい。
そういえば自転車に貼るのもいいね。


一階に降りて、本棚の新刊コーナーにあった星野源の『いのちの車窓から』の文庫と、淹れてもらえるコーヒーを買って、椅子が4つ並んだ窓際の長机の、一番端っこに座ってそれを読んだ。


冒頭に戻ろう。
星野源になりたいんよ、とずっと言っている。

何年も前のエッセイを、文庫になってようやく手にとった。
星野源のオールナイトニッポンが好きで、文章もずっと読んでみたくて、やっと本が読めるような日がきて
天気が良い今日、外でそれを買って読んだ。
ときどき肩を震わせるほど笑いながらしばらくそこにいて、信じられないくらいの満足感とか充足感とかに浮足立ったまま家路について、そんでわたしは文章を書いている。


いいね。いいよ。悪くない。
あたたかい季節は好きだ。

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