【福祉施設の表現活動】いずみの里・本間葉子さん
五泉市にある障がい者支援施設「いずみの里」と、そこに入所されている本間葉子さんについて紹介します。自分を表現する機会の一環として2年前から新たに「アート活動」を始め、施設として独自の位置づけも考えて進められています。
本間葉子さん
鮮やかな色の連なり、重なり。タイトルの通りポンポンとスポンジをくりかえし押しつけて描かれた絵。毎週描いているという絵の中には1色で塗られたものや、顔のようなものが並んだものもありました。どの絵も短い線をポンポンと置いて描いているような印象です。
この絵の作者は本間葉子さん。あまり口数が多くない方ですが、施設で始まったアート活動ではもくもくと集中して手を動かし、複雑な色あいの絵を完成させてまわりを驚かせました。絵の具を出すのは職員さんの役割で、「何色がいいですか?」と聞いて選んでもらうところから始まるそうです。
「なんでもやるよ。」 職員さんからの問いかけには、そう短く答えることが多い本間さん。絵を褒める声かけには嬉しそうな表情をしてくれます。自分の名前も日課のように書いているそうです。
いずみの里のアート活動について
以前はリハビリテーションの一環として、レクリエーション、折り紙などの集団創作を行っていたいずみの里。2年前から個人でアート活動に取り組む時間を週に1回(30分)つくるようになりました。園長が旗揚げ役となり、アウトサイダーアートでもアールブリュットでもなく、「私たちで育てていく、いずみの里のアート活動」としての取り組みが始まったのです。
最初の頃は座って集中することができない方が多かったそうですが、職員さんたちもアールブリュットについて知りながら試行錯誤を重ね、今ではその時間を楽しみにしている人が増えてきています。
「この人は意外とこういう絵を描くんだ」など、その人の新たな強みを見つける機会やコミュニケーションツールにもなっている、と話す職員の伊藤さん。いずみの里には障害の程度が重い人が多く、描きたいものがすでにある人は少ないので、見本や画材を提案して描いてもらう形が多いそうです。五泉の市展に出したり、市役所に飾ってもらったりもしています。
福祉とアートの間を実践する「いずみの里のアート活動」。本間さんを始めとしてこれからもさまざまな作品や物語が生まれる場となりそうです。
取材日:2023年6月1日
記事執筆:井上(NASC)
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