中国はモンロー主義を実践しているのか?
三十ウン年前に受講していた曽村先生の講義を思い出し、教科書『地政学入門』を読み返していました。初版は1983年なのでまだ米ソ冷戦の時代でした。本書の中で米国のモンロー主義について触れられており、中国の最近の動きとの類似性に思い当たったので短文を書いてみました。
モンロー主義とは
モンロー主義について、上記の教科書『地政学入門』「第3章 アメリカの地政学 1節 モンロー主義の発展過程」から抜粋してみました。
一八二三年に大統領モンローが議会への教書のなかで対ヨーロッパ外交の基本方針を声明したとき、それは次の三原則から成り立っていた。
1.両米大陸にたいする将来の植民地活動の禁止(非植民の原則)。
2.大陸ヨーロッパの政治組織を西半球に拡大しようとする一切の試みは、アメリカ国民の平和と安全とにたいする危険であるとみなす(非干渉の原則)。
3.アメリカ合衆国の側からは、ヨーロッパ諸国の内政にけっして介入しない(非介入の原則)。
地政学入門によると、モンロー主義はこれに固定されず、時代によって範囲を広げたり狭めたり、強まったり弱まったりを繰り返して変質していきます。
中国版のモンロー主義
これを中国に当てはめると、ユーラシア大陸の東南アジア各国や台湾、チベット、内モンゴル、ウィグルのような戦後に占領した地域に対する欧米各国の干渉は許さないということでしょうか?実際、台湾については核心的利益と宣言しており手を出させない姿勢を強めています。また、尖閣・沖縄についても自国領と言っており、米国が英国、仏国をアメリカ大陸から追い出そうとしたときと似たような動きです。
ただ、3番目の考え方(他国への非介入の原則)に沿って考えると、中国は欧米各国には手を出さないということになります。しかし、米国のモンロー主義も変質し、CIAによる海外工作や米軍派遣による局地戦を行ってきました。中国も同じでしょう。
これは、中国版のモンロー主義だなと思っていたところ、すでにそういうことを言っている人が韓国にいました。
まとめ
ユーラシア大陸には、ロシア・インドという軍事大国が居座っており、中国はアメリカ大陸における米国のような立場にはありません。しかし、モンローが議会で声明したときのアメリカもスーパーパワーであったわけでもありません。中国は、今まさにユーラシアの覇権を取ろうとしているところなのでしょう。
米国アンダーの南アメリカは決して幸せとは言えません。中国アンダーの日本についても同じと考えた方が良いでしょう。
参考図書
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