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紙の書籍出版の願望と実現方法

kindleセルフ出版によって個人出版のハードルがグッと低くなり、誰でも無料で書籍を世に出せるようになりました。しかしそれは電子書籍に限った話、紙の書籍を世に出すにはまだまだ高いハードルがあります。今回はプリント本を出版する方法についてまとめていきます。

1.書籍の種類

書籍は大きく分けて2種類に分けられます。

1.1.国際標準図書番号(ISBN)が記載された書籍

普通に書店で売っている、裏にバーコードがついている本はこれにあたります。書店や図書館に置いてもらうにはこのISBNが必要なのですが、取得に8,640円かかります。けっこう高いですね…

1.2.ISBNが記載されてない書籍

ISBNがない本も一般に同人誌や私家版として、コミケ等のイベントや通販サイトで広く売買されています。ただし将棋本は出版社の商業誌がほとんどで、同人誌は数例しか確認できません。

2.書籍の販売方法

①書店販売
本屋さんの店頭に並べてもらう方法です。これができれば苦労はしません(笑)数十万円掛けて自費出版すれば不可能ではないですが現実的ではありません。今回は考えないことにします。

②自家通販
印刷会社やコピー機で印刷した書籍を通販する方法です。メリットは利益率が高い事。デメリットは家に在庫を抱えることと郵送の手間がかかることです。これらのデメリットを解消するサービスもありますが、利益率が下がります。

③POD(プリントオンデマンド)
印刷会社に書籍データを入稿し、注文が入ったら印刷会社が印刷・製本・郵送を行う方法です。②より利益率は下がりますが、入稿さえしてしまえばあとは放置で良いので非常に楽です。

3.具体的な利用サイト・サービス

3.1.自家通販サイトの紹介・比較

自家通販ができるサイトを以下に紹介します。今回のメインコンテンツではないのですごく適当です。イラスト系の同人誌に比べて棋書はページ単価が安いので、自家通販は向いてないように思います。(いわゆる薄い本ではないので印刷代・送料が大きいのではないか)

①Booth
イラストコミュニケーションサイトpixivが運営しているサービス。手数料が安く、最有力候補。
利点:手数料が安い。
欠点:サイトが見にくい。在庫サービスのトラブルがあるらしい。

②pictSPACE
③ピコ通販
④BASE
⑤STORES

ネットショップも含めるとほかにもたくさんあります。たくさんありすぎて良く分からないけど、将棋界隈では全然普及してない!

3.2.PODサービスの比較

今回のメインコンテンツ。こちらのサイトが参考になります。
POD出版サービス5社比較!最初からPOD出版しなくていい理由
上のサイトから、初期費用完全無料の3つに絞ってみていきます。

3.2.1. nospri

販売媒体:Amazonとその他インターネット書店
ISBN :無料でつけられる。
印税:販売価格の20%

ISBN無料、Amazon以外でも取り扱い可能、印税も20%とまあまあ。かなり良い条件です。実際上のサイトでもイチオシされています。筆者もさっそく申し込んでみました。その結果…

新規出版受付停止中のお知らせ(nospri)
せっかくご入稿頂きましたのに大変申し訳ございませんが、現在nospriからの新規出版の受付を停止しております。
プリントオンデマンドでの出版をご希望の場合は他社サービスをご利用頂きます様、お願いいたします

まさかの受付停止中。しかも「他社サービスを利用してください」という書き方からして、再開の目途も立っておらず、サービス終了の可能性を強く感じます。残念。

3.2.2. ネクパブ

販売媒体:Amazon
ISBN :5000円
印税:販売価格ー(販売手数料+印刷費)
販売手数料:販売価格の40%

次はネクパブ。うちはこちらのサービスを使っています。インターフェースがしっかりしていて、入稿から出版までが分かりやすいです。販売価格を自由に決め、そこから印刷費と手数料を引いた価格が利益となります。手数料は価格の40%と割と低いですが、結構価格を高くしないと高い印税が得られません。
Amazon 電子書籍・プリント本の出版事情

参考に、うちの大ヒット商品「藤井システムを指しこなす本 Vol.1 ファミレス版」の印税をみてみましょう。

印税=2980(税込)→2,709円(税別)ー1192(販売手数料)ー675(印刷費)
=774円
198ページの本を3000円という強気な価格で販売して、印税率はやっと28.6%です。なお、普通の印刷所としても利用できるので、自家出版することで、手数料を取られない分安く販売できます。

3.2.3. 3spice

販売媒体:Amazon
ISBN :無料でつけられる。
印税::販売価格ー(販売手数料+印刷費)
販売手数料:販売価格の50%

次は3spice。ISBNを無料で取得できる代わりに手数料がネクパブより高いです。3spiceでISBNを取得してネクパブで売るという外道行為が許されるかは謎です(そういうのはやめておこう)。無料でISBNを取得できるのはおそらく現状ここだけなので、魅力的といえます。

ここまでamazon PODサービスを見てきましたが、かなり価格を高くしないと儲かりません。やはり自家通販を地道にやっていくしかないのか…?

3.2.4. ブックパレット

販売媒体:Amazon, 丸善ジュンク堂
ISBN :4180円
Amazon POD登録料:5,280円(1冊。税込)
丸善ジュンク堂 POD登録料:5,280円(1冊。税込)
Amaozon POD&丸善ジュンク堂 POD登録料:8,448円(1冊。税込)
印税:15%

最後はブックパレットです。Amazonと丸善ジュンク堂PODに有料で登録できます。しかし、初期費用がかかり、印税も15%と低いのでそんなことはどうでもいいです。大事なのはブックパレットの販売機能です。ブックパレットが自社サイトでPOD販売サービスをおこなっています。

販売媒体:ブックパレット
印税::販売価格ー(販売手数料+印刷費)
販売手数料:決済価格(販売価格+送料)の3.6%

販売手数料3.6%はPOD業界で類を見ない低価格です。ほぼ印刷代だけで、印刷・製本・郵送を全部やってくれます。自家通販をする理由が完全になくなりました。ネクパブとの比較をしてみましょう。

例:「藤井システムを指しこなす本 Vol.1 ファミレス版」198 ページ

ネクパブの場合の利益(再掲)
2980(税込)→2,709円(税別)ー1192(販売手数料)ー675(印刷費)
=774円

ブックパレットの場合の利益
1600(税込)→1455円ー58(販売手数料)ー711(印刷費)
=822円

ネクパブの約半額で、ネクパブと同等以上の利益を得ることができました。その結果商業誌と同等の価格帯を実現することができます!これはすごい!!

欠点としては…知名度が非常に低い。こんなに良いサービスなのになぜだ…何か欠点があるのだろうか?
ブックパレットで公開されている本は全部で191冊。実用書に至っては23冊。そのうち5冊はうちの本です。

みんなこれから紙の本を出すときはブックパレットをご検討下さい。
当サークルの本は下記からどうぞ!


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