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ミャンマー人と日本人学生が学び合う日本語教室VECとのオンライン交流会

加藤 麻子

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内戦や民主化運動の弾圧から逃れて来日し、今は日本で暮らしているミャンマー人のために、高田馬場(東京)で6年前にスタートした日本語教室VEC。6月27日(日)に「日本の英語を考える会」のメンバーとVECの皆さんとのオンライン交流会が実現した。

VEC側からは、主宰者である東京女子大学の松尾慎教授 (社会言語学・日本語教育・多元文化教育)と、間一髪でミャンマーを離れ、今は日本で長く暮らし働いているミャンマー人の方々、それからミャンマーの子供達に学習支援を行なっている日本人大学生のグループが参加。加えて、上海の高校で日本語を教えている日本人女性と、江蘇省で青年海外協力隊として地域社会で日本語を教えている日本人女性2名も中国から参加。松尾先生のお人柄を反映した実践的で温かい、学生パワー溢れる日本語教室だ。

「日本の英語を考える会」(NNE)からは、東京女子大学の鶴田知佳子教授を筆頭に、ニューヨークとニュージャージー在住のメンバーも参加し、国際的なオンライン交流会となった。

交流会では、日本やアメリカに住んでいると非常に分かりにくいミャンマーの国内事情をほんの少しだけ垣間見ることができた。2020年11月の総選挙では、技能実習生を含む日本全国に住む若いミャンマー人達が、なけなしのお金を叩いて東京や名古屋までやって来て投票したという。なのに、軍はこの選挙は不正だったと主張して民主化を弾圧、当然のことながら皆が怒って抗議活動や民主化運動を続けているのだ。

軟禁が続くアウンサンスーチーさんについて質問したところ、皆お母さんのように慕って尊敬していることが分かったが、松尾先生によるとミャンマーにはたくさんの民族がいるため、スーチーさんに対する味方はそれぞれに複雑で、厳しい意見を持っている方もいるそうだ。

NNEのメンバーが一番興味をもっていたのは、皆さんの来日後のコミュニケーションについてだ。日本の生活習慣や文化はミャンマーと違い、ルールが多過ぎて戸惑ったという声が多く聞かれた。買い物やゴミの出し方から挨拶や順番待ち、職場では上司が色々と進捗を聞いてきたりと、最初は分からないことだらけだったそうである。

住民登録をするために最初に区役所に行った時には、日本に20年以上住んでいるミャンマー人の友人に付き添ってもらったそうだ。その後、長年暮らして日本語が分かるようなり、今では区役所に行って自分から話をするが、難しい漢字が読めないので分からないことは未だに多い。書かれたものではなく、音声で直接来聞く方が分かりやすいという。やはり、「やさしい日本語」とその「音声化」が必要だと思った。

災害の情報や医療関係の手続きなどは、職場の人に助けてもらったり、避難場所などについては地元の小学校に通っている自分の子供に教わることも多いという。職場で年2回防災訓練に参加している人もいた。豊島区で働いているミャンマー人の方によると、豊島区のホームページにはミャンマー語のページがあるそうだ。でも、住んでいる八王子市にはないという。ワクチン接種の日程などのお知らせはどのようにして入手するのか質問したところ、日本人の友人に聞いたり、英語が読める人もいるという。「やさしい英語」があれば便利だと思った。

最後に、ミャンマーの子供達に学習支援を行なっている18人の日本人大学生の代表による5分間プレゼンテーションが大変印象的だった。コロナ禍なのでオンラインで5家族8人の子供たちの学校の宿題を見てあげているそうだ。勉強で使う日本語は難しいから、このような支援は不可欠だという。学ぶことの多い交流会となった。


(2021年7月8日)
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