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高電社と意見交換

楠田倫子

報告がすっかり遅くなりましたが、去る三月、翻訳・通訳会社大手「高電社」の方々と意見交換の機会を得ました。

同社の開発した機械翻訳ソフト「J-Server」は、自治体HPの多言語翻訳に広く採用されており、ほぼ寡占といってよいシェアを誇ります。自治体の英語コミュニケーションのあり方に多大なる影響力をもつ同社と直接のつながりを得ることができたのは、大変意義深いことでした。

当会では、かねてより、自治体の英語HPの誤訳例について問題提起を続けており、J-Serverが採用されている事例を取り上げたことも少なくありません。高電社も当会の提言を承知しているとのことでした。J-Serverの精度を高めるために同社としてさまざまなサービスや取り組みに着手しており、英語については、DeepL社の英語翻訳エンジンとの連携サービスをこの春から開始し、豊島区、足立区ですでに導入ずみとの由(その後目黒区も導入)。

当会がかねてから提言している「欧米語圏で実績のある翻訳AIの採用(DeepL、Google翻訳など)」が、すでに日本の自治体HPにおいて突出した導入実績をもつJ-Server上で実現した、というのは、大変うれしいニュースでした。

今後、この新サービスを導入する自治体が増えていくのか、また、導入自治体において人力校閲や独自辞書の拡充などにより翻訳精度をさらに向上させていくことができるのか、当会としても注目していきたいと思います。(DeepL連携版が4月に導入された目黒区のHPを見たところ、従来版より精度があがってはいるものの、英語話者が簡単に意味を理解できるとは言い難い表現も、残念ながらまだかなりあるように見受けます。)

高電社も、機械翻訳に加えて人力翻訳・校閲のサービスを提供しているものの、予算の関係で採用する自治体は極めて少ないとのこと。多言語化への取り組みにどこまで本気で向き合うのか、自治体側の姿勢も問われていると感じました。

今後も、同社のみならず、「日本の英語」に関わるさまざまな皆様との接点を模索しつつ、当会からの提言を続けていきたく思います。


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