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オリパラ大会規約HPの英語がビミョーな件…

楠田倫子

いよいよ明日からパラリンピックが開幕しますね。

実は、私の勤務先のフランス本社がサポートするアスリート2名が、今回のパラリンピックに出場します。本来ならフランス本社と我々日本支社とで協力して、彼らの受け入れや応援を盛り上げたいところなのですが、コロナ禍のためできることが非常に限られてしまい、受け入れに先立ってフランス本社とあれこれ知恵を絞ってきました。

その中で、フランス側の担当者が「せめて選手村に花束を贈りたい」と思い立ち、選手村に差し入れができるのかどうか大会規約を調べてみたときのこと。

「今、組織委員会のウェブページを見ているのだけれど、英語がビミョーで意味がよくわからないから、日本語ページを読んで意味を教えてくれる?」とフランスの担当者から連絡が入りました。

慌てて該当箇所の英語・日本語を両方読んでみると、確かに英語がかなりビミョー。。。非常に回りくどく不自然な英語です。

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「クール便」とか「着払い」とか「お届け時間帯指定」とか、宅配便のきめ細やかなサービス体系は日本ならではのもので英語に直訳しにくいといえばしにくいのですが、それにしても意味がとりにくい。

特に、文章の1番最後の部分、「付帯サービスに対応できません」のくだりを
It does not respond to … ancillary services
と逐語直訳しているところが決定的に意味を取りづらくしています。こういう文脈でrespondは使いませんし(反応する、応答する、というニュアンスです)、主語のitが何を指すのかも不明です。

試訳ですが
Other related services, such as delivery time requests and cash on delivery, 
are not supported, either.
といった辺りが意味の取りやすい無難な落とし所でしょうか。

一連の大会規約は翻訳エンジンを経由せずに表示されるので、おそらく人間が翻訳したのだと思われます。全文はかなりのボリューム感があり、翻訳に相当な労力がかかったことは想像に難くありません。せっかくの労作なのになぜ最後にネイティブチェックにかけなかったのか。。。世界最大規模の国際イベントなのに。。。組織委員会の中に問題意識を持つ人はいなかったのか。。。 

「おもてなし」の心を大切に ー 日本人がよく口にするフレーズですが、日本語を解さない方たちに必要な情報を適切に提供できないのでは、真の「おもてなし」は難しいのではないでしょうか。

非常にモヤモヤした一件でした。

2021年8月23日


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