見出し画像

バードウォッチングのすすめ

バードウォッチングはつくづく趣味にしてよかったと思う。
鳥に出会って、毎日が楽しくなった。
最寄駅までの道中や登山中、車窓から外を眺めている時など、いつも鳥を探している。

そんな私が感じる鳥の魅力は、以下の四点である。
・「飛ぶ」という行為
・美しさ
・ちょうどよい種数
・地域による種の変化
以下でそれぞれについて、簡単に述べる。

まずは、「飛ぶ」という行為そのもの。
大空を舞う鳥は本当にかっこいい。自由の象徴でもある。
この「飛ぶ」という行為一つをとっても、種によって多種多様である。
上昇気流をうまく捉えて、羽ばたかずに円を描いて上昇するトンビ。何度かせわしなく羽ばたいたかと思うと、翼を閉じ、流線形になることを繰り返して飛ぶヒヨドリやセキレイ。V字編隊を組んで、空気抵抗を減らし、効率の良い飛翔を行うツルなど。
種による飛翔形態の違いを観察するのはとても楽しい。

また、多くの鳥は「飛ぶ」という能力を獲得したことにより、行動範囲が広がり、季節によって生活圏を変える「渡り」を行う。
代表的なのは、越冬のために日本にやって来るカモであろう。秋に姿を見せ始めるカモたちを見て、遠いシベリアから渡ってきたのだと思うと、ロマンがあっていい。また、暑い夏を山で過ごし、冬に平地に下りてくるというように、日本国内で渡りを行う種もいる。
このようにバードウォッチングは見られる鳥によって四季を感じられる趣味である。

ツルの飛翔(鹿児島県出水平野にて)

次に、美しさ。
鳥は本当に美しい。カラフルで目立つ鳥や、地味だがよく見ると複雑な紋様を持つ鳥、飾り羽を付けた鳥など。特に繁殖期の雄は、雌を魅了するために、多種多様な形態を取る。
根拠はないが(※何かの本で読んだような気もするが。)、これほど美しい体色を持つことが出来たのは、やはり「飛ぶ」という行為と関係していると思う。飛ぶ鳥は地上に生息する動植物と違い、天敵が圧倒的に少ない。そのため、目立つ体色や飾り羽を思う存分体にまとうことだ出来たのだろう。

また、鳥は自然の中にあって、汚れとは無縁だ。双眼鏡で羽根の一枚一枚まで観察するが、泥や埃を被っている鳥はいない。鳥は自分の体の手入れに余念がない。汚れを落とすために水浴びや砂浴びをしたり、水をはじくために油を塗ったり。
このように、鳥の美しさは、その体色や飾り羽とともに清浄さを併せ持ったものだと思う。なんだか、泥沼の中で綺麗な花を咲かせる水連のようだ。

夕焼けとアオサギ(福岡県今津干潟にて)

次にちょうど良い種数。
私は、学者ではない。専門的な知識も持ち合わせていない。ただの素人バードウォッチャーである。そのため、あまり種数が多いと手に負えない。
しかし、こんな私でも鳥の種数はちょうど良いと感じる。その数は、かなり詳しい図鑑でも700種類前後である。この中で、普通に生活していて日常的に出会う種数となると200種類もいかないのではないか。植物や昆虫が何千、何万種類いるのに対して、かなり少ない。

また、上記で述べた鳥の美しさのために、種の判定も比較的容易である。そのため、図鑑と双眼鏡さえ購入すれば、専門的な知識が無くても、簡単に始められる趣味である。

ヨシガモの伸び(福岡県今津干潟にて)

最後に地域による種の変化。
私は日本全国どこにでも同じ鳥がいると思っていた。鳥には国境があるわけではないし、山や川など自然を分断する地形も簡単に飛び越えられる。そのため、繁殖力や環境に適応する力の強い種が日本全国に広がり、同じような生態系が育まれると。
しかし、実際はその地域によって生息する種が全く異なる。島嶼部に固有種が生息するというのは、まだ想像がつく。しかし、西日本では見られるのに、東日本では見られない、というように陸続きであっても、種の変化が見られる。中には、この平野だけにしか生息していないという種も存在する。鳥も、気候や植生、地形などの違いによって生息地の選り好みをするのである。
そして私は、地域による種の変化を感じることがとても好きだ。新たな土地で新たな鳥に出会う瞬間がとても良い。

カササギのつがい(福岡県太宰府市にて)

そんなわけで私はバードウォッチングがとても好きだ。
皆さんも是非双眼鏡を手に、鳥を探してみてほしい。
普段とは違った景色が見えること間違いなしである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?