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産休・育休の取りやすさが企業競争力に直結する理由

産休育休の取得促進は組織全体を強化する

産休育休制度が整備されてかなり取りやすくなっていますが本質的な対策ができていない会社はまだまだたくさんあります。
今回は取得の推進を企業の競争力向上につなげる本質的な取り組みを紹介します。


そもそもなぜ産休・育休が取りにくいのか

まだまだ取りにくい・戻りにくいという会社があると思います。
よくある課題を整理します。

1. 経営層の意識不足

経営層が産休・育休の重要性を認識していない場合、推進が難しくなります。特に短期的な利益や業績を優先する企業では、産休・育休の導入が遅れる傾向にあります。

2. 文化・風土の問題

企業の文化や風土が保守的である場合、産休・育休を取得することが難しくなります。従業員が休暇を取ることに対してネガティブな評価があると、取得をためらう原因となります。

3. 人員不足

中小企業や一部の業界では、慢性的な人員不足が問題となっており、休暇を取ることで業務が滞ることを懸念する企業が多いです。このため、産休・育休を推進しにくい状況が生じます。

4. 属人化の問題

特定の業務が特定の従業員に依存している場合、その従業員が休暇を取ると業務が滞るリスクがあります。この属人化が進んでいると、産休・育休を推進することが難しくなります。

5. 制度の不備

産休・育休に関する制度やガイドラインが整備されていない場合、従業員がどのように休暇を取得すれば良いのか分からず、結果として取得率が低くなります。また、法令遵守が不十分な場合も同様です。

6. サポート体制の不足

休暇中の業務を代行する体制や、復帰後のフォローアップが不足していると、従業員は休暇を取りにくくなります。特に、復帰後のキャリアパスが不透明な場合は、取得をためらう大きな要因となります。

7. 社会的な偏見や誤解

一部の社会では、産休・育休を取ることに対する偏見や誤解が根強く残っていることがあります。特に男性が育休を取ることに対する抵抗感が強い場合、育休の推進が難しくなります。

まずは意識改革から

産休・育休を推進できない理由は多岐にわたりますが、これらの問題を解決するためには、経営層の意識改革、組織文化の改善、人員体制の強化、制度の整備、サポート体制の充実が必要です。企業全体で取り組むことで、より働きやすい環境を提供し、持続的な成長を目指しましょう。

企業が産休育休取得を推進すべき理由

企業が産休・育休の取りやすさを提供することは、単なる福利厚生の一環ではなく、企業競争力の向上に直結する重要な要素です。

1. 優秀な人材の確保と定着

優秀な人材は、ライフイベントがあってもキャリアを継続したいと考えています。産休・育休が取りやすい環境を提供する企業は、そうした人材を引きつけ、長期的に定着させることができます。特に働くママにとって、安心して仕事を続けられる環境は非常に重要です。

2. 社員のモチベーション向上

産休・育休の取得をサポートすることで、社員は企業に対する信頼感が増し、モチベーションが向上します。これにより、生産性の向上や業績の改善が期待できます。また、社員同士のサポート意識も高まり、チームの結束力が強化されます。

3. ダイバーシティとイノベーションの促進

多様なバックグラウンドを持つ社員が働きやすい環境を提供することは、ダイバーシティの推進につながります。これにより、様々な視点やアイデアが生まれ、イノベーションの促進が期待できます。特に育児経験を持つ社員が持つ視点は、新たな市場ニーズの発見や製品・サービスの改善に寄与することがあります。

4. 社会的評価とブランドイメージの向上

産休・育休の取りやすさを重視する企業は、社会的評価が高まり、ブランドイメージが向上します。これは、消費者やビジネスパートナーからの信頼を得るための大きな要因となります。企業のCSR(企業の社会的責任)活動の一環としても評価され、持続可能な成長に寄与します。

5.組織力の向上

産休・育休が取りやすくなることと比例して属人化を排除し、業務が標準化していき、サポートする企業文化が醸成していきます。誰にでも起こりうる傷病等による急な欠勤や介護休暇などのマンパワーの変動に動じない組織を作ることができます。

企業競争力の向上につながる要素が満載

しっかりと向き合って取り組むことで企業の競争力に直結する要素が多数あります。だからこそ本質的な取り組みをする必要があり、いきなり導入するのではなく要件定義をしっかりする必要があります。

産休・育休の取りやすさを実現するための取り組み

では、企業が産休・育休の取りやすさを実現するためには、具体的にどのような取り組みが必要でしょうか。

1. 業務の標準化とサポート体制の明示

離職者や急な欠勤が発生した際に、誰がどうやって必須業務をサポートするかを明示することが重要です。産休前後の体調不良への配慮や、定期的に発生する体調不良者の心の負担を軽減するために、具体的なサポート体制を整備しましょう。

2. 属人化の排除

可能な限り個人名で仕事をすることを排除し、業務を役割やポジションに基づいて振り分けます。例えば、「請求書担当_03-****」のように業務を担当する人ではなく、役割で示すことで欠勤時のリスクを一定程度軽減できます。

3. 業務割合コントロール(業務の分類分け)

絶対にやらないといけない仕事でスケジュールを埋めてしまうとサポート体制が作れなくなります。業務を7:3の割合で、後回しにできる業務や投資的業務を組み込むことで、有事の際にサポート体制を敷くことができます。

4. 柔軟な勤務形態の導入

リモートワークやフレックスタイム制度を導入することで、育児と仕事を両立しやすくなります。また、時短勤務制度の活用も有効です。これにより、育児中の社員が安心して職場に戻ることができます。

5. サポート体制の整備

育児休暇中の社員をサポートするために、定期的なフォローアップやメンター制度を導入しましょう。また、復帰後のキャリアパスについても明確にすることで、社員の不安を軽減します。育児休暇後の再教育プログラムやスキルアップ研修の提供も重要です。

6. 職場文化の醸成

職場全体で産休・育休の重要性を理解し、支援する文化を醸成することが必要です。管理職や同僚からの理解とサポートがあれば、休暇を取得する社員も安心して休むことができます。定期的な研修や啓発活動を通じて、職場全体での意識改革を進めましょう。

7. 法令遵守と情報提供

労働法や企業の産休・育休制度に関する情報を社員に提供し、適切な手続きを促すことも重要です。社内ポータルサイトやマニュアルを整備し、必要な情報をいつでも参照できるようにしましょう。

まとめ

産休・育休の取りやすさは、企業の競争力を高めるための重要な要素です。優秀な人材の確保と定着、社員のモチベーション向上、ダイバーシティとイノベーションの促進、社会的評価とブランドイメージの向上など、さまざまなメリットがあります。これを実現するためには、業務の標準化とサポート体制の明示、属人化の排除、業務割合コントロール、柔軟な勤務形態の導入、サポート体制の整備、職場文化の醸成、法令遵守と情報提供が不可欠です。企業全体で取り組むことで、より働きやすい環境を提供し、持続的な成長を目指しましょう。

どの企業にも合う手段と合わない手段がありますが、どんな業種であっても取り組むことは可能です。まずは要件定義をしっかり行い、自社に最適な施策を見つけることが大切です。

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