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「難しい」は「無理」「できない」である。

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。

今日も、留学生から、不動産屋で遭遇した「不可解な」話を聞きました。
不動産屋で気に入った物件を見つける。
審査を受ける。
その結果、「○○さんの場合は、ちょっと難しいですね」。
彼女は、ではどうしたらいいのか、と思ったそうですが、具体的にそれは示されなかったと。

こんなことが、誤解を生むわけです。
不信感を生むわけです。
日本人が言う「難しい」は、「無理」「できない」という、越えられない壁なのです。
ストレートに断ることを回避しようとして「難しい」と伝える。

「難しい」と言う語自体は、初級で形容詞が出てくれば必ず学習します。
学生も必要としていて、すぐに使える形容詞ですから、どんな初学者でも、「難しい」がわからない人はいないでしょう。
けれども、この日常的な形容詞が、正しく伝わらないのです。

もう、辞書の「難しい」の項目には、「不可能を意味する場合もある」という記述を加えるべきですね。
加えて、初級テキストにも、不可能を意味する「難しい」をダイアローグに加えるべきです。

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