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就活生に注意喚起!

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。
複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。

優秀な外国人(留学生)を日本の社会に送り出したい、というのが、この15年ほどの、私の願いです。就職というゴールを睨んでの上級日本語であり、書くクラスであり、話すクラスだと位置付けています。

日本は国家としては年老いてしまい、生産人口の減少は回復の見込みがない国です。一方、留学生の出身国では、若者が就職できない現状がある。それなら、一時的であれ、この国に力を貸してもらうのは、ウィンウィンだよね、ということなのです。日本語教育のゴールも、試験の合格や大学の入学ではなく、もっと先、日本での就職となっています。(だから、旧態依然の初級や検定試験合格だけを目指した日本語教育から脱してほしい。)

昨日、インターナショナルジョブフェア東京2023に行ってきました。
企業と留学生をつなぐために、言語教育として、あと何ができるだろうという思いでした。

出展企業の7/8は就職支援と称する企業でした。どうやら、かなり儲かるらしい。常々、大切に育ててきた留学生が、就活となった時に食い物にされているのを感じ、残念な思いをしています。留学生だけではありません。日本人学生も同様です。このマッチングの会社にとって、顧客は誰か。お金を出している求人側企業です。学生は1円も出していないのですから、顧客などではないのですよ。あなたのことを考えて、仕事を紹介してくれるでしょうか。結果が全て悪いとまでは言いませんが、「就職支援」をする企業が誰の利益のために働いているか、よくよく考えてみてほしいのです。「1社内定出たけれど、まだ就活を続けたい」「この会社は辞退したい」それ、受け入れてもらえるでしょうか。あなたの就活が不本意な終わり方にならないといいですね。

ある「就職支援」の会社の人に声をかけられて、話してみると、その人は、一般企業で人事の仕事をしており、この業界がこのままではいけないと強く感じている、良心的な人でした。留学生の斡旋に関しては、特定技能制度が始まってから、このような有様なのだという話でした。
ほとんどの「就職支援」の会社の人は、私が何をしているか知ると、エサを持っている人、という扱いで、「何人いるか」と聞いてきました。明明白白、とてもわかりやすい。そんなところに学生を渡すとでも思っているのでしょうか。
この良心的な人と、いろいろ話して、私は、学生側からもお金を取ってほしいと言いました。つまり、学生のことも顧客として扱ってほしいということです。求人企業のためだけでなく、学生のためにも働いてほしいということです。

「就職支援」ではありません。人材斡旋です。誰に何を斡旋?学生を企業にです。企業のために、です。マッチングが成立すると、一般的に、年収の3割がマッチングの会社に渡ると言われています。学生はただで集まってきますから、すぐに始められる商売だということです。相当腹立たしい事態ですが、これが、留学生を、日本人学生を取り巻く就活の現状なのです。
江戸時代の口入屋は、求職、求人の双方からお金をもらっていたようです。これだったら、人身売買ではありませんね。求職側と求人側の立場は互角です。良心的ですよね。いえ、それが普通ではないでしょうか。

タダほど怖いものはない。
声を大にして言いたい。
真理だと思います。
社会勉強というには、厳しい結果が待っているようですよ。
理想を持って就活している人は、気をつけてください。


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