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「不便益」をきっかけに考えたこと

「不便益」ということばを聞いたことがありますか。

数年前にNHKの番組で知った言葉ですが、番組タイトルの「Benefits of Inconvenience」という言葉が印象に残っています。検索してみたらまだネットで見ることができるようです。(2024年3月31日まで視聴可能)

「不便益」を提唱されている川上浩司先生の日常が、番組内で紹介されていました。

・公衆電話を利用
・カッターで鉛筆削り
・紙の辞書使用

先生が代表を務められている不便益システム研究所のホームページには以下のようにあります。

不便で良かったことを私たちは「不便益」 と呼びます

https://fuben-eki.jp/whatsfuben-eki/

不便益 × 教育

この「不便益」という考え方は、日本語教育にも応用できるような気がして印象に残っています。自分の学習経験を振り返ると、「不便な教材」も多かったと思います。でも、そういった教材のおかげで身に付いた力もあるような気がします。「不便な教材」というのは、以下のようなものをイメージしています。

・わかりやすい解説、図解がない
・関連性の説明がない
・ハイライトなどがない
・やさしい言葉での言い換えがない

「親切すぎない教材」といったほうがいいかもしれませんが、こういった「不便な教材」を見ていると、自分なりに情報を整理しないとなかなか理解が進みません。「あれ?」「どういうこと?」とひっかかるので、自分で調べようとします。そういったことの繰り返しに意味があったと思います。

本屋でいろいろな教材を見るのが好きですが、今はとても親切で分かりやすい教材が多いと思います。私も馴染みがない分野について知りたいと思ったときはそういった教材に助けられています。

一方で、学びを深めたいとしたら、自分が触れるものがそういう教材ばかりでいいのかなという思いもあります。分かりやすい教材を見ていると、分かった気になってしまいます。理解度をチェックするには、親切すぎない教材に取り組むことも大切だと思っています。

ここまで書いていて、レウォン君の活動を思い出しました。

この動画の中で、既存の漢字ドリルについて「親切すぎる」というコメントがあって、いろいろ考えさせられます。

授業用スライドを作る際にも、「親切すぎないか」「考える余地が残されているか」といった視点、大切ですね。「不便な仕掛け」を試みたいと思います。

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