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理想のタンデムパートナーとは

そもそもタンデムTandemとは「二人乗り」のことらしい。
ドイツ語だと思ったけど、欧州系の言語はみんなそういうのかも。
私がドイツ文学科の学生のころ、夏休みに学科主催の合宿があった。
ドイツで日本語を学ぶ人が来日して、一緒に1週間合宿し、私たちはドイツ語を学ぶというもの。
そのときに「タンデム」という言葉を知った。

言語学習におけるタンデムは二人がそれぞれの言語を教え合うことだ。
日本語だと「言語交換」とWikiに出ていて、一切タンデムという言葉が使われていなかった。
英語でもTandemは二人乗りの他、言語交換アプリとして説明されていたので、言語学習でタンデムという言葉を使うのはドイツが主流なんだろう。
件のアプリもドイツの会社の開発だ。

昔から言われているのは、1時間使うなら30分、30分でちゃんと言語を切り替えるということ。
一方の言葉ばかりになれば、一方にばかり利益があって、パートナーシップが長続きしないだろうし、一文ずつとか、分からなくなったら、とか短いタームでスイッチしていくと、学習効果が薄いんだろうと思う。
意識的に「よし、今から〇〇語ね!」と切り替えるべきなのだ。

でも、その合宿のときにすでに、これはなかなか難しいと思った。
レベルが全く同じということはなく、通常はどちらかがより上手だ。
そうすると、どうしてもそちらに目盛りが動いてしまう。
もしくは、媒介語として第三の言語、例えば英語なんかを使っていると、段々英語の時間が長くなってしまう。
タンデムを成功させるには双方の強い意識が必要だ。

タイ語の学習を始めたとき、タンデムパートナーを探せるサイトに2つ登録した。
1つは全然違う言語の人から変なメッセージばかり来るので、すぐに止め、もう1つはいつまで経っても進展がないので、やっぱりやめた。
昔の方がこういうのは掲示板で探しやすかったなあ。

それから勤務校の言語センターでタンデム募集の仕組みがあるので、教員でもいいか尋ねて、登録させてもらった。
「提供言語日本語、学習したい言語タイ語」というように登録し、マッチすれば連絡が来る。

フェイスブックは元々登録してなかったんだけど、大学の校友会関連で必要でアカウントを作ったので、ついでにフランクフルトの2万にも登録のあるグループに入ってみて、声がけしてみたが、今のところなしのつぶてだ。

そんな話をしていたら、友人が知り合いがタイ人だから聞いてみようかと言ってくれた。
奥さんがタイ人で、ご主人が日本人、子どもたちはタイ語も日本語もあまり話せないそうだから、私がお母さんとタイ語で話し、子どもたちと日本語で話すというのは、共通利益になると思われた。

先日、初めてオンラインで会ってみた。
すごく面白いママさんと、優しいお子さん。

でも、ママさんはあんまりタンデムパートナーにはむいてなさそう。
例えば、ドイツ語で話してるんだけど、いつの間にか英語になってしまう。
多分、彼女は英語の方が得意なんだろうけど、変わったことに気づいてない。
私はすぐ英語が出てこないので、返事はずっとドイツ語なんだけどw、それにも気づいてなさそう。
(しかもどちらもタイ語訛りがきつい)
言語感覚が曖昧なんだと思う。

完全に習得できていないと、そういうことも起こる。
母語はさすがに間違える人は少ない。
でも、夫はスペインでも「はい」とか日本語で返事してたw
そして、気づいていない。
これは、英語も日本語もできない証拠。

私も最近日本語とドイツ語の境界線が近づいてきて、子どもにうっかりドイツ語で話しかけたり、いい訳語がドイツ語でしか出てこないとか、外国で英語のつもりでドイツ語で返しちゃったりすることがある。
これもできない証拠だけど、一応すぐ「あ! 間違えた」と気づける。

閑話休題。
音痴には二種類あって、インプットに問題がある場合とアウトプットに問題がある場合がある。
インプットできない人、聴覚の問題の人は、自分が音痴だという自覚がない。
正しくインプットはできているけど、声帯の筋肉とかの問題で正しい音が出せない人は、自分で「あ、外した!」と気づく。

私のタイ語はもちろん全然足りないんだけど、このママさんの言語感覚はどちらかというと、インプットからうまく行ってないタイプに見えた。

私が初級の初級だと言っているのに、難しいことを早口でずらすらっと話され、隣でお子さんが「早いって! 自分でもわからないよ!」と止めてくれていた。
日本でもドイツでもいるけど、相手の言語力に合わせた話し方ができないタイプなんだと思う。
多分、そういうセンスの元に子育てをしたから、お子さんはタイ語も日本語もできないんだろう。

私が中級くらいになったらいけるかな。
でも、今はちょっと無理だ。
私が今日はこれを勉強したい、ともっていけば、練習には付き合ってくださるかもだけど。
それよりはお子さんのが言語センスあるように思えた。

しかし、日本語もタイ語も聞けばわかるのもあるというレベルのようなので、子どものころから英語、ドイツ語のちゃんぽんで暮らしてきたんだと思うから、もうちょっと話してみないとなんとも言えないけど。

そんなわけで、せっかく近所にいるタイ人だけど、タンデムパートナーには難しそう。。。残念。

日本人全員が日本語教員になれるわけじゃないのは分かっているし、ドイツ人でも説明のうまい人、うまくない人は山ほど見てきたけど、やっぱりタンデムするには、ちょっと「教える」要素が必要なのかなあ。
ということで、どんな人が理想かを考える。

-言葉の言い換えができる人。説明能力がある人
-例を豊富に出せる人
-辛抱強い人
-誤った言い方に気付ける人、スルーしない人、正せる人
-相手の力を見極められ、それに合した話し方ができる人
(理想はぴったりじゃなくて、ちょっと上!)

ま、そうそういないかもしれないw
実は夫はこれができる人だったので、知り合ったころから飛躍的にドイツ語が伸びたんだけどね。

理想の人に出会うのは難しそうなので、私が方向性を決め、舵取りをしてやるしかないな。
テーマを決めて、練習に付き合ってもらうというのが一番よさそうだ。

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