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褒め下手な日本人のための褒め方レッスン

在米の同業者と交流する機会があって、色々いい刺激をもらえたんだけど、そのときに聞いた話で面白かったのは、その方の学校では、最初に日本人の先生には「褒め方」を教えるという。

そうなの、日本人は褒めるのが下手な人が多いと思う。
それでも、どちらかというとまあ女性の方が上手。
若い人の方が垣根低く褒められるかもだけど、語彙が貧弱で、ポイントがつかめないかもしれない。

私も自分で気をつけるようになるまでは、「褒める」ことを意識したことがなかった。
日本ではそもそも褒めずに小言を言って、子どもを育てているケースが多いと思う。

私もドイツの中にいたらうるさい方だと思うけど、日本では結構緩いだろうと思う。
ダメなことはもちろんダメだけどね。
ダメ、の基準が違うんだと思う。

さて、私が気づきを得られたのは、補習校で日本人学校の先生の授業を拝見する機会があったときのこと。
ドイツ地区の補習校の合同研修会のホスト校で、各地から補習校の先生方が集まっていた。
30代くらいの男性の中堅の先生に、私のクラスを1時間指導していただいての公開授業だった。

そのとき、その先生の鮮やかな褒めっぷりは、今でも目に焼き付いている。
出席を取るだけで、「褒め」のオンパレード。
「〇〇さん」はい「いい名前ですね!」
「△△さん」はい!「元気な返事ですねえ!」
「□□さん」はい「丁寧な返事ですね。気持ちがこもっています!」
と言った具合。
出席を取り終わった時点で、クラスの視線は完全に先生の方を向き、信頼度って目に見えるんだ!という感じだった。

その後の音読でも、声が大きい、すらすら読める、気持ちがこもっている、メリハリがあるなど、一人一人違うことを褒めていく。
褒められるたびに、子どもたちから笑顔があふれ、ますますやる気になっていく。
クラスって作れるんだなあと1年目の私はしみじみ思った。

同じころ、親野智可等著「親力で決まる!」を読んだ。
小学校元教員によるもので、中でも「褒める」については、うーんとうならされた。

褒め方10箇条
①具体的に褒める
②抽象的に褒める
③すぐに褒める
④これはと思うことを、いつまでもしみじみ褒める
⑤理由をつけてほめる
⑥理由なしで褒める
⑦誉め言葉のバリエーションを増やす
⑧第三者も褒めていたと伝える
⑨その子の思い入れの大きいことを褒める
⑩ときには意外なことを褒める

親野智可等著「親力で決まる!」

詳しく知りたい人は、実際に読むとよいが、私は今でもこの10箇条に気をつけている。

そのあたりから、自分の子どももすごく褒めるようになったと思う。
褒め方の参考にこの10箇条は大変役だった。

それから、同じ日本人学校の女性の先生におしえていただいたテクニック。
注意というのは、何度もしているうちに自然とスルーするようになってしまう。
例えば、姿勢が悪い子に「姿勢よく」と言っても、聞かなくなってしまう。
だから、言葉には出さないで、そっと背中を撫でる、というもの。
それから、他の子を「褒める」!
「〇〇さん、姿勢がとてもいいですね!」
というと、面白いほどクラス中の姿勢がぴっと伸びる!

褒められていやな人はいない。
相手が自分をちゃんと見て、評価してくれるというのは、信頼度の一歩目だ。

日本語を教えるという仕事は100パーセント外国人を相手にする。
日本以外の国では、普段もっと褒めたり、褒められたりしているので、日本語の先生があまりに褒めないと、生徒たちは自信をなくしていきかねない。

もし、機会があったら、大学のメンバーに声をかけて、褒め方レッスンをやってみてもいいなと思っている。
私が先輩方にいただいたものを、同輩、後輩にまわして、教育業界全般の底上げにつながっていくといい。

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