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「スキ」の継続

朝起きて窓を開け、冷やっとした空気が入ってくるたびに、ドイツいいなあ!と思う。
この空気感は、夏休みにキャンプとかに出かけた朝の空気と同じ。

週に二度授業のためにダルムシュタットに行くんだけど、並木と古い建物などのコンビネーションを見て、ドイツ好きだなあ!と思う。
30年前に初めてドイツに来て、好きだなあ!と思ったときの気持ちと同じだ。

多分、ドイツに生まれ育った夫や娘たちは、私のこの感動に共感しない。
彼らにとっては当たり前の日常。
その代わり、日本に行くと、あれもこれも珍しい、日本いいね、という。
でも、それは私にとっての「当たり前」の、つまらない景色。

ドイツももちろんいいところばかりではないけど、概ね好きだと思える国にいられて、私は幸せだと思う。
会社の命令で来ている人、いわゆる駐在員さんは引きこもったり、気持ち的に患ったりしてしまう人もいるし、たまたま好きになった人がドイツ人で…という外国(ほぼ英語圏)で知り合った人は、ドイツに来て、ハッピーじゃないこともある。
ドイツが嫌いになって、その人と別れるというパターンもよく聞く。
私は、自分が好きでドイツに来て、ここに居続けられるのだから、幸せだ。

でも、「好き」を実感するには、やはり比較が必要なんだと思う。
ずっと日本にいたら気づかないだろうし、ずっとドイツにいても気づかない。
旅行でもいいから行ってみて、その国が好きだと思ったり、自分の国のよさに改めて気付いたりする。

これは何も場所だけの話じゃない。
いつも同じものだけを食べているのはつまらない。
あれやこれや食べるから、飽きもこないで、これがおいしいと思えるのだ。

もっと細かいことをいうと、うどんなどは包丁で切ることで、1本1本の太さにほんの少し差ができるらしい。
(私が切ると、もっと差ができる!)
その差こそが、食感で差を生むらしい。
だから、機械で切るよりおいしいんだと。

人も同じだと思う。
最近、「エコーチェンバー効果」という言葉を授業で学んだけど、朱に交わって赤くなってしまうと、右を向いても左を向いても赤しか見えなくなる。
SNSも好きな人の記事しか読まなければ、自分の思想が社会の常識だと思ってしまうだろう。

色々な人と付き合うことで、自分の世界も広がるし、その上で自分の友達や家族を改めて、いいな、好きだなと思うかもしれない。
(反対もあるかもだけど!w)

今日は別の道を通ってみる。
いつもののレストランだけど、違うものを注文してみる。
そんな小さな冒険も、「好き」につながるかも。


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