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【教育実習対策?】授業中によくある質問タイプの傾向と私流対策

通信大学のグループのやりとりで教育実習を控えている方から、授業時にどんな質問が出るものなのかという話題があったので、ちょっとまとめてみたいと思います。
いや、今日から試験期間で、レポートはあと1つ終わってないし、WEB試験もあるんですけど、気になっちゃうとどうせ手につかないから!

教育実習対策と偉そうに書きましたが、教育実習をしたことはありません。
なので、「?」をつけました!w
補習校の研修で略案じゃない教案を作り、日本人学校の先生に見ていただいたことはあります!
お褒めの言葉はいただいたけど、教案作りはとても大変でした。
それ以来、再び略案しか作っていません。
かっちりする方が、自分のスタイルに合わないからです。

でも、初めてやるような内容であれば、頭の中でシミュレーションはします。
説明の順番とか出そうな質問とか、どう答えるか、など。
以下は、今まで経験した授業全般(小学1年~個人授業)でよくあったタイプの質問です。


1.いつ/どこ/だれ/なに/どうやって

例えば外国語学習なら、自分の母語にない概念を理解するのは難しいです。例えば、日本語母語話者が英語を習うとして、定冠詞不定冠詞について「いつaなの?いつtheなの?」などと、明確なルールを知りたかったと思います。
知らないから、不安なのです。

そういうカテゴライズに類する質問は、5W1Hのwhy(後述)以外でまとめられるでしょう。

いつ使うのか、文のどこに入れるのか、どこで/何で/どうやって見分けるのか、誰(どんな人)が/に使うのか(常体と敬体などの区分など)、何が違うのか・・・

自分で質問を予想して、答えを準備しておくといいと思います。
インターネットで入手できる教案に答えはあるでしょうが、自分で考えることに意義があると思います。

それでも、考えてもなかったことを聞かれることもあると思います。
たとえば、「ある」「いる」の区別なら、「じゃあ『手』は『ある』ですか」のような!
手は物質だと思っていたけど、そうか生き物の一部という考え方もあるんだ!と気づかされたことがあります。

そのときの対応は、「手は『ある』です」とただ答えてもいいでしょう。
時間がないならそうします。
でも、時間があるなら「いい質問ですね!」と必ず視点を褒めてから、「どっちだと思いますか?」と問い直します。
「手はどうだろう、生物か無生物か・・・」と自分で考えて出した答えを人は忘れないものだと思います。

クラス全体に広げてもいいと思います。
私は、「〇〇はどういう意味ですか」なども、「誰か分かる人?」と他に振ります。
教員の言葉より、絶対に他の生徒からの言葉の方が記憶に残るからです。
「あいつは知ってた!」みたいなライバル心なのか分かりませんが・・・
カーナビで目的地に行くと、次のときも覚えていなくてまたナビを使おうとするけど、人に教えられた道順だと、意外と記憶に残っているものです。


2.発展形を聞かれる

「あります」「います」がテーマなら、「じゃあ、否定形はどういうのですか」などと、まさに次の学習内容、もしくはそのあとの課の内容の質問が出ることがあります。

これは時間の有無と学習者のレベルにもよると思いますが、脱線してそのテーマに行くか、さらっと教えるに留めるのか、教えないのかを考えておいた方がいいでしょう。

個人(少人数)学習なら、または時間があるなら脱線して、興味のある方にどんどん行くべきだと思います。
まあ、「それホントに使う?」というようなことも出てくるので、匙加減は大事だと思いますが。

ニュートラルな対応は「『ありません』『いません』ですよ」と軽く触れることだと思います。
プラス要素としては、「次の課(第〇課)で学習しますよ、〇ページです」などと示してあげることでしょうか。
個人的に興味のある人は、あとで自分で勉強できますから。
そのためには、使う教材の全体像を知っておく必要があると思います。

それから、すでに日本に在住している学習者や、アニメで見たことがあるという人から、「別のいい方もありますよね?」と言われることもあります。
例えば、「あります」「います」なら、「じゃあ『おる』/『いらっしゃる』は何ですか/どう違いますか」のように、方言や敬語などを耳にしたことがあるかもしれません。

この間「て形」の学習をしたとき、「死んで」について、「『死ね』とどう違うんですか」と聞かれましたw
アニメでよく聞く形なんですねw
(そもそも「死ぬ」が不穏当なんだけど、「ぬ」で終わる動詞がこれしかないから・・・)

なので、教えるテーマと似たテーマや言葉についても、事前に知っておく必要があります。

あとは例外的なもの、例えば間に合わないと思って走っていき、バス停にまだバスが停車していたら、「あ、バスまだいた! よかった!」などと言うことがあります。
例外や居住地域の方言などを教えるか教えないかは、予め考えておいた方が無難だと思います。
(無難さでいうと、教えない方が無難なんですが、ほかの言葉もあるんだよ、例外はあるんだよ、ということはにおわせておいてもいいかも??)


3.なぜ

自分の母語にない概念について、再び定冠詞不定冠詞の例で言えば、「え! なんでそんなの要るの?!」と思いませんでしたか。
一方で、例えばドイツ語母語話者が英語を学ぶなら、「『der, die, das』は『the』だよ」で終わるのです。

ない概念が出てくると、「なぜ、それがある/要るのか」という問いが生まれるでしょう。(それを質問するかは別としても)

質問されたときの対応として考えられるのは、

①なんででしょうね。
②なんでだと思いますか。
③ある/ルールだからです!(Darum!/Warum nicht?/why not?)
④それは・・・(理由を説明)
⑤でも、〇〇語は△△もありますよ。
⑥じゃあ、なぜXX語(質問者の母語)は・・・

などでしょうか。
どう対応するのかは、教える方と教えられる側のタイプ、授業計画にかかわってくると思います。

授業時間に限りがあるものだと、じっくり取り上げることができません。
なので、①「なんででしょうね」とか③「ルールだから!」とかになるかもしれません。
でも、質問者のもやもやは解消されません。

かと言って、理由が説明できることばかりではありません。
「なぜ日本語では『ある』『いる』と分かれているんですか」
と聞かれて答えられるでしょうか。
(もし、余裕があるなら、常になぜだろうと思う気持ちがあるといいと思います。
時間があったら調べてみたり、アンテナを巡らせて、もっと「なぜ」を集めたり。)
日本語を直接法で(日本語で)教えている場合で、学習者の力がその質問の答えに見合っていない場合は、説明しきれません。
媒介語を使う場合は、教える側の言語能力も必要です。

実際には③「ルールだから!」というのはそうなんですけど、そう言われて納得しかねる。
でも、⑤「〇〇語では・・・」あたりを言われると、気づきにつながると思います。
今まで、定冠詞というものの存在を知らなかったけど、そうかフランス語にもドイツ語にもイタリア語にもあるのか!と。
「母語対学習語」ではなく、「世界の中の母語と学習語」になることで視野が広がって、「そういうものか」とルールを受け入れやすくなると思います。

でも、これには教える側の知識が必要なので、いつでもだれでもできるわけがない。
クラスが複数の母語話者で形成されているのなら、「他の言語はどうですか」と聞いてみるのがいいですね。
私はそれを通して「こそあど言葉」に類するものが、中国、韓国、ベトナム、タイにもあることを知りました。

その発展形は、「〇〇語(質問者の母語など)にも△△がありますよね。それと同じです。」でしょうか。
例えば、こそあど言葉の例なら、ドイツ語では「これ」も「それ」も「あの」も「この」も全て「das」なんです。
でも、「ここ」と「そこ/あそこ」は「Hier/here」「da,dort/there」がある。
その距離感が理解できるなら、「これ」と「それ」の理解への手がかりになると思います。
「ている形」も、ドイツ人には「英語の『~ing』です」と説明しちゃいます。
但し、これも教員が質問者の母語がある程度わかっている、もしくは全員が英語など媒介語の基礎知識があるというのが前提ですね。

⑥「なぜXX語(質問者の母語)は・・・」もこの延長で、ルールはあるものだという気づきを促すことができると思います。
学生「なぜ『ある』と『いる』が分かれているのですが」
私「じゃあ、なぜドイツ語にはないんですか」
私「じゃあ、なぜドイツ語にはder/die/dasがあるんですか。英語みたいに1つでいいじゃないですか!」

もし、時間に余裕があって、教員と学習者が意志の疎通を図れる共通言語を持つなら、②「なんでだと思う?」から、「一緒に考えてみよう!」の発展が好きです。

国語や継承語ではよくやります。
自分が理由を知っていても、知らなくても、「どうして」という問いは、本人に問いかけ直します。
大抵は自分ですでに気付いていることも多いです。

もしくは本人が分からないというなら、クラスで考え、話し合ってみると、理由は分からないかもしれないけど、良さを発見できるかもしれません。(こそあど、便利だね!)
違いを見つけられるかも。(アジアにはあるんだね!)
理由への答えには直接なっていないけど、授業への参加意識が高まります。

その上で、答えられるなら答えてもいいし、答えられないなら「じゃあみんなで調べてみよう!」とか「じゃあ、私の宿題にします。」という幕引きでいいと思います。


最後に

私は今、実際に授業をしていますが、実際に補習校(小学生)で教え始めたとき(国語算数)、頼まれてドイツ人に日本語を教え始めたとき(個人授業)、さらに頼まれて大学で教え始めたとき、どのタイミングも、とても不安だったのを覚えています。

将来、日本でもドイツでもない地で日本語を教えたいので、直接法を勉強したくて、また資格を取りたくて、今通信教育で学んでいますが、実際に直接法の実習をすることになったら、とてもドキドキすると思います。
今でもゼメスターの最初のクラスとか、初めての個人の人は緊張します。

でも、その緊張を楽しめるようにはなりました。(亀の甲より・・・?)
新しい人との出会いや、出来事はうれしい刺激です。
「アイスプラネット」(椎名誠/中2教科書掲載)のぐうちゃんの言葉を借りれば、「世界は楽しいことで満ち満ちて」いるので、「いっぱいの『不思議アタマ』になって、世界に出かけていく」と面白いのです。

普段から、「なんでだろう」「何が違うんだろう」「違って、面白いな!」という視点を持っていると、それが残りの人生全部を楽しくしてくれると思います。

今まで教えたことのない人が教育実習をするのは、きっと不安だらけだと思います。
でも、準備をしたら、それだけ自信につながると思うので、みなさん、がんばってください!




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