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なぜ大事?奥深い「磨き」の世界

皆さん、こんにちは。日本ニューノーズルで技術から採用まで幅広く担当している製造部の田中正之です。

弊社の理念や取り組み、従業員へのインタビューなどを毎月掲載しているnote、今回は私たちの会社で重要な「磨き」の仕事について、お伝えしたいと思います。

日本ニューノーズルは、主にプラスチックなどの素材を加工する射出成形機の部品を製造している会社です。以下の3つを事業の柱としていますが、弊社がお客さまから信頼をいただいている理由の1つが磨きの技術にあります。

①部品を生産・販売する製造事業
②サービスパーツを生産・販売するサービス事業
③現在進行中の新規事業



<日本ニューノーズルが精度にこだわる磨き作業>


なぜ磨きが大切?

わずかな汚れが大きな影響

磨きとは部品をツルツルに磨いて仕上げる作業です。シンプルですが、磨きの技術によって製品の品質に大きな差が生まれます。私たちが製作している射出成形機の部品は、表面を樹脂が流れていきます。スマートフォン、DVD、自動運転などの要になる精密なレンズ類は樹脂でできています。磨きが不十分で表面がザラザラな成形機の部品では樹脂が滞留して焦げてしまいます。

肉眼では認識できない焦げ付きですが、一瞬で膨大なデータを読み取るレンズには致命的な汚れとなります。スマートフォンのレンズにほんのわずかでも汚れが付いてしまえば思い通りの写真や動画が撮れなくなることをイメージすると、磨きの重要性がお分かりいただけると思います。最先端IT機器の生命とも言える透明な樹脂を成形するため、精度の高い磨きが求められています。

<工具を使って金属部品のザラザラな部分をツルツルにします>


ビフォーアフターを比較

磨いた後はツルツルに

添付した下の写真をご覧ください。左側が部品を磨く前、右側が磨いた後の写真です。ザラザラしている金属の表面を磨いてツルツルにしています。作業では、部品の形や磨く場所によって砥石、サンドペーパー、バフ研磨と工具を使い分けています。

<磨く前(左)と磨いた後の滑らかさは一目瞭然 >

私も日本ニューノーズルに入って最初の7年間は仕上げの工程を担当し、モノづくりの基本を学びました。新卒で入社した住宅メーカーでは営業を担当、大学は文系だったので、知識や技術はありませんでした。私が入社した当時は60歳近い磨きの職人さんがいて、一から仕事を教わりました。

最初の1、2か月は部品に汚れや傷が残っていると指摘されてもよく分かりませんでしたが、半年くらい経つと1つの製品をツルツルに仕上げられるようになりました。どんな人がミガキ作業にむいているのかよく聞かれますが、電動歯ブラシで歯磨きができる人であれば真面目に経験を重ねていくことで技術を身に付けることができます。

<自社製品について説明する私、田中です>


磨きの楽しさは? 

失敗を糧にエースに成長した従業員も

磨きの楽しさは、自分の手で金属製品をツルツルに仕上げた時の気持ち良さです。靴や財布といった皮製品にクリームを塗ってブラシで磨き上げると、ピカピカになりますよね?あの時の達成感や喜びと似ています。

誰でも最初は上手くいきません。私も角を取ってはいけない部分にバフ研磨を当てて丸くしてしまい、製品を駄目にした経験があります。力の加減が分からず、厚さ0.01ミリに磨くところを100倍の1ミリで磨いてしまった従業員もいます。ただ、その従業員は今、主力商品を担当する「磨きのエース」に成長しています。根気強さや真面目さがあれば、誰にでも成功できるチャンスがあると思っています。

<複雑な形状にも対応できる技術力が特徴です>


但し、ツルツルに磨き上げるだけでは半人前

磨きの難しさ

磨きは製品をツルツルに仕上げるところがゴールです。しかし、工業製品には時間をかけ過ぎてはいけない部分に難しさがあります。 時間をかけるほど、コストは高くなります。コストが高くなれば結果的にお客さまに迷惑をかけてしまいますし、収益も落ちることになります。

部品がツルツルになってくると、気持ちが良いのでついつい時間をかけたくなります。一度手を止めても、また気になって磨き始めてしまうことはよくあることです。しかし、適切なタイミングで作業を止めることもスキルの1つで、その目や感覚を経験で養っていきます。時間をかけてツルツル、ピカピカに磨いて満足している段階では、まだ半人前なんです。

<磨き作業では照明に部品を照らしながら傷がないか確認します>


同業他社にはない強み

一貫加工で品質の高さを維持

実は、私たちのように機械部品を製造している企業で、磨きの工程まで自社でやっているのは珍しいんです。多くの企業は磨きを外部に発注しています。

製造から仕上げまで自社で完結する最大のメリットは、どの工程にどんな改善点があるのかを見つけ、全体の作業の効率化や精度の向上につなげられるところにあります。作業工程を1つ増やすだけで、相当なイニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(維持費用)がかかります。技術者の育成も必要です。お金も手間もかかりますが、質の高い製品をつくり続けるために私たちは磨きまで一貫して自社で担当しています。

磨きの難易度が高いシャットオフや逆流防止リングと呼ばれる製品の国内シェアは弊社がトップです。お客さまから安定的にご注文いただけているのは、弊社の磨きの技術が評価されているからだと思っています。職人の育成に加えて、同業他社さんと比べて精度の高い工作機械を数多く保有しているので、極限まで機械加工してから磨きの工程に移行できるところも強みです。お客さまの図面通りの形状で部品を仕上げる技術にこだわっています。

<現在はデスクワークが中心ですが、当時の経験がいかされています>

どんな業務にも生きる磨きの知識

仕事の土台に

従業員の中には、磨きを極める職人もいれば、私のように他の業務に移るケースもあります。どんな担当になっても、磨きの知識は生きてきます。

成形機メーカーの設計者との打合せで、複雑な形状なのにとても厳しい精度を要求されることがあります。磨き方次第で価格に大きな差がつくため、用途を聞きながら、磨き精度を調整してもらうことがあります。価格と品質、バランスよく満足していただくためです。100分の1、1000分の1の世界を追求する磨きを学んだことが、全ての業務の土台になっていると感じています。

磨きの現場を見るチャンス

11月に工場見学のイベント開催

磨きの奥深さが伝わったでしょうか?ここで、皆さんにお知らせです。
私たちの会社が誇る磨きの現場、普段は公開していない工場を見学できるイベントが11月17~19日に開催されます。静岡市内にある24社による「ファクハク 静岡工場博覧会2023」に日本ニューノーズルも参加します。
皆さんにモノづくりの現場を紹介できる特別な機会なので、ぜひ私たちの工場に足を運んでください。

<ファクハク 静岡工場博覧会2023>

■会社HP
http://nihon-new-nozzle.co.jp/


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