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イラク戦争と鳥侵攻


イラク戦争と、ウクライナ侵攻




問題はロシアよりむしろアメリカだ

という、

池上彰さんとエマニュエル・トッドさんの対談本を読みました。


イラクによる大量破壊兵器保持における武装解除義務違反を理由として、主にアメリカとイギリスが仕掛けた戦争です。


結果イラクには大量破壊兵器がないことが分かり、国連の権威がガタ落ちしたのですが、


このことに比して、今「抑圧されている東部ロシア人の開放」を名目に起こったロシアによるウクライナ侵攻を責める権利がアメリカにあるのか?という揶揄の込められた言説を、たまに聞きます。


そのことを持ってきても、ロシアの非を責める世界の流れには、驚くほどの圧があります。本の中ではそれを、「ロシアフォビア(ロシア嫌悪)」と読んでいます。


また、本作中では

「アメリカは他国を戦争に仕向け、他国で戦争をする国だ」という辛口の指摘と、ロシア嫌悪が顕著な「ポーランド参戦」の可能性が、今後の転換期のひとつとして指摘されています。



ブチャでの虐殺で、ロシア軍の傍若無人ぶりは広く報道されましたが、


2022年9月末に、バルト海の海底を経由して、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームが破壊されたのは、新ウクライナ側の工作と報道されました。


実際は新ウクライナ派どころか、工業的に強くNATOでも影響力の強いドイツを、産業的にロシアと引き離すための、アメリカ側の工作、という見方があります。




力による現状変更は認めない、と言いつつ、自国は確固たる証拠が無いけど、攻撃を仕掛けたことにより(2003年から2011年までに、推定50万人の死者を出したということです。



簡単な話で、ウクライナ侵攻で、正義・悪の話はできない、ということです。



経済制裁を加えて一年経ても効果なし、ICC加盟国ではないロシアのプーチン大統領に対して逮捕状を出すことも、効力がないことはわかりきっていることで、馬鹿げている、と、エマニュエル・トッド氏は述べています。



エマニュエル・トッド氏というのは、リベラルでフランスの主メディアでは出禁扱いらしいですが、アメリカは嫌いでは無かった、そうです。


けれど、イラク戦争から現在に至るまでで、欧米のロシア嫌悪トレンドに対して、マイナーなアメリカ嫌悪(アメリカ・フォビア)になっている、と言います。


私も、アメリカという国は、文化が浅いと自国の歴史を認識しているためか、ヨーロッパや日本の文化に、多大なリスペクトを払う代わりに、外交では、



「他国が怒っても仕方がないようなことを平気でする」



と、いう印象があります。



代表的なのが、「自由民主主義の落ち着け」です。


自由民主主義の押し付けは、他国だけでなく、自国内でも保守派ーたとえば、LGBTQの゙人権保護運動などが、分裂を産んでいます。


つい先日は、マクドナルドでセクハラ訴訟の連鎖が起こり、大きく報道されました。



さて、ロシア嫌悪とは、イコール共産主義嫌悪なのでしょうか。


この対談本では、その方程式が正しいかどうか、詳しく検証するようなことは無かったですが、ひとつ、ロシア嫌悪(ロシアフォビア)からは距離を置くことが推奨されています。




報道がいかんにせよ

(ゼレンスキー大統領のプロパガンダだけでなく、ロシアはもうやばい、崩壊寸前、もうすぐ火薬が無くなる、プーチン大統領は病気、どれだけそういうニュースを見たことでしょう?信用できないです。ロシア嫌悪蔓延により、名のしれたメディアでさえ、事実と判断できないようなことを、願望・妄想で膨らまして書いていることが感じられます)


アメリカは武器供与の面で、ロシアの生産力に負ける危険性が指摘されています。


ポイントは、ポーランドの参戦により、名実ともに第三次世界に突入すること。

そして、この本では、アメリカの覇権主義の崩壊が示唆されています。



武器供与では、戦車やクラスター爆弾でいちいちヨーロッパ内でも意見が割れ、経済制裁では、グローバルサウスにロシアとの敵対を避ける国が多くあり


ロシアフォビアは、流れに逆らうことに恐怖を感じるほどの偏った価値観ですが、


しょせんトレンドはただのトレンドで、世界のすべてを動かす力はなく


どこに向かうか分からない状態が、今です。


世界を動かす力は、正義ではないことだけは確かです。



アメリカのヘゲモニーが崩壊しても、自国がどこに向かうべきか、覚悟を決めて考えておくべきだ、というような内容でした。






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