2022年 阪大化学

2022年の阪大化学の解説です。非常にざっくりですがよろしくお願いします。今年も文理共に数学が易化(2020年ほどではないが)したなど、相変わらず荒れましたね。化学は例年並或いはやや易化といった所でしょうか。

1.全大問の中では一番解きやすい(・・・はず)。

問1(1)二酸化炭素の電子式。答えは教科書でいいでしょう(誰でも解けるはずですので)。
(2)ア:カルシウム イ:Ca₂(HCO₃)₂ ウ:CaCO₃
※アは元素名、イ・ウは化学式なのに注意です。
問2(1)2NO+2O₂→2NO₂
(2)Cu+4HNO₃→Cu(NO₃)₂+2H₂O+2NO₂
(3)N₂O₄の電子式。OーN(=O)ーN(=O)ーOの形となります。
(4)エ:共有 オ:非共有 カ:NO₂⁺ キ:NO₂ ク:NO₂⁻
問題文から読み取れとの事ですが、事前に知らないと選びにくいかもです。ちなみにニトロニウムイオンは直線形、二酸化窒素と亜硝酸イオンは折れ線系です。二酸化窒素の結合角と亜硝酸イオンの結合角の大小関係は「不対電子と電子対の反発は電子対間の反発より小さい」から考えます。
問3 ケ:イオン化 コ:自由 サ:金属 シ:14 ス:4 セ:5 ソ:1
問4(1)Al+(1/2)Fe₂O₃=(1/2)Al₂O₃+Fe+426kJ ←Q=(1676ー824)/2=426
(2)108/27=4.00mol Alは4.00mol析出→流れた電子は12.0mol
2.00×t/9.65×10^4=12.0→t=5.79×10^5(s) 気体:CO or CO₂←どっちが多いかは判断不可ですので恐らくどちらを書いても正解かと思われます。(3)AlはFeよりもイオン化傾向が大きく、化合物で安定するから。

2.難問です(ただ例年よりかはまだマシかも)。


問1 モルヒネの構造を聞く問題(実は今回一番難しい問題はコレかもしれない)。知っている人(薬学に詳しいetc.)ならBは選べますが・・・。
理由:モルヒネは塩酸塩を作ることから塩基性であり、塩基性を示す構造が含まれているのはBのみだから。
問2 ア:[Mor-H⁺][OH⁻]/[Mor][H₂O] イ:[Mor-H⁺][OH⁻]/[Mor]
問3(ⅰ)(ⅱ)(ⅳ) ←(ⅲ)変化しない,(ⅴ)小さくなる
問4 酸性 Mor-H⁺+H₂O→Mor+H₃O⁺と反応し、オキソニウムイオンが生成するから。
問5 ここからは難問ゾーンです。問1と共に捨てていい問題です。
pH=8.00→[H⁺]=10^-8(mol/L)→[OH⁻]=10^-6(mol/L)
[Mor-H⁺]+[H⁺]=[OH⁻]なので、[Mor-H⁺]=9.9×10^-7(mol/L)
[Mor]=[Mor-H⁺][OH⁻]/Kb=9.9×10^-7×10^-6/1.6×10^-6≒6.2×10^-7(mol/L)
問6 [Mor-H⁺]/[Mor]=Kb/[OH⁻]=1.6×10^-6/10^-(14-7.4)=1.6×10^-6/10^-6.6=1.6×10^0.6=1.6×(10^log₁₀2)²=1.6×4=6.4

3.阪大有機なら標準レベルの問題です。

別の方が「出題ミス疑惑」を指摘しておりますので自分も調べて見ます。以下は阪大が想定していると思われる回答としておきます。


問1 C:5.28×12/44=1.44(mg) H:1.44×2.0/18=0.16(mg) O:1.92-1.44-0.16=0.32(mg)
C:H:O=1.44/12 : 0.16/1.0 : 0.32/16 =6:8:1→組成式:C₆H₈O
C₆H₈O=96でAの分子式は300以下かつ148以上→C₁₂H₁₆O₂

上で指摘がある通り、C原子を18にしても別の答えが出てきます。ただ、この後の流れを見ると、Hがどう考えても無水フタル酸なのでわざわざC原子=18として考える理由がありません(当然難易度が上がります)。とは言え、分子量300以下という条件設定のせいで複数解答が考えられる以上は、どれでもいいので(仮にC=18で解いたとしても)条件を満たす解答を1個書いているのであれば正解とするのが妥当です。これをどうするかは阪大側の判断次第ですので私からこれ以上言えることはありません。


問2 C:H:N:O=79.59/12 : 6.20/1.0 : 6.63/14 : 7.58/16 ≒14:13:1:1→組成式:C₁₄H₁₃NO
C₁₄H₁₃NO+H₂OーC₆H₇N=C₈H₈O₂
問3 考え方の方針のみ記します。
Hは分子内脱水によってできる酸無水物で、分子量は148→C₈H₄O₃=無水フタル酸(構造分析で超頻出!!)
Gは芋ヅル式にフタル酸です。
EはーCOOH1個、FはーOHを1個もつ、かつオルト2置換体(G,Hがオルトなので芋ヅル式で)。
問2より、Eの-COOHのもう1個の方の置換基はーCH₃→o-トルイル酸
Fは-COOHを持たない。またーOH(フェノール性)も持たない。
FはEと同じ分子式のアルコールなので、置換基2個はーCH₂OH,ーCH₃
問4 C₆H₄(COOH)₂+2Na→C₆H₄(COONa)₂+H₂ ←フタル酸は構造式に直しましょう
問5 A+H₂O→E+I(ヨード○) B+H₂O→E+J(ヨード×)
Jは過マンガン酸カリウム酸化(強い酸化)も×→Jは3級アルコール
Iはヨードホルム反応が陽性となるJと同じ分子式のアルコール
問6 C+H₂O=F+①(枝分かれ×) D+H₂O=F+②(枝分かれ○)
C,DはA,Bと分子式が同じだから、①,②はC原子3個のカルボン酸(Fがアルコールの為)

4.全体的に標準的な問題ばかりです。あと、今年もタンパク質出なかったのが気になりました。


問1(1)(41.6/104)×(58.0/100)=0.232mol 0.232/(50/1000)=4.64L
(2)(a)PbCl₂ (b)CuS (c)Fe(OH)₃ (d)Na⁺
問2 Cr₂O₇^2-:H₂O₂=1:3 H₂O₂=x(mol/L)とすると、
0.040×5.0/1000=(x/20)×10/1000×1/3→x=1.2mol/L
問3 陽極:2Cl⁻→Cl₂+2e⁻ 陰極:2H₂O+2e⁻→H₂+2OH⁻ 全体:2NaCl+2H₂O→2NaOH+H₂+Cl₂
問4 陽極で発生した塩素が陰極側にある水酸化ナトリウムに対して2NaOH+Cl₂→NaCl+NaClO+H₂Oという反応をしないようにできるから。
問5 A:A B:海水
ナトリウムイオンはC室の向きに移動し塩化物イオンは左から順番に奇数番目の室に近づく向きに移動するため、奇数番目の室の濃度は高くなり、偶数番目の室の濃度は低くなるから。
問6 ア:イオン交換樹脂 イ:電気分解 ウ:交換 エ:イオン交換膜 オ:濃縮 カ:再生

あまり丁寧な回答ではないので、予備校が公開する解答速報も参考に。なお当記事は予備校の解答速報よりも先に出しているため、違っていたら大変申し訳ありませんm(_ _)m

皆様との出逢いに感謝。略してC₁₀H₂₂です。

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