共通テスト2022 化学

2022年の化学の解説です。非常にざっくりですがよろしくお願いします。私自身の平均点予想は67-68(/100)と、例年よりも易化したなと思いましたが、予備校(河合塾と駿台予備校)の平均点予想では難化だそうです。化学基礎はこちらからどうぞ。

大問1 (6)のみやや難、後は大したことないです

1.秒殺問題。L殻に価電子3個は原子番号5のホウ素Bしかあり得ません。答えは当然如く②です。

2.窒素Nの原子量は14なので、N含有率はそれぞれ①14/53.5≒0.262、②14×2/60≒0.467、③14×2/80=0.35、④14×2/132≒0.212となります。答えは②の尿素です。

3.原子量はA<Bであるから、密度の大小関係もA<B。これより、Aが増えると、混合気体の密度は絶対減少するので、①~③はあり得ない。また、状態方程式PV=(w/M)RTにw=dVを代入すると、P=(RT/M)×dと表せる。温度は一定なのでTは一定、すなわちRT/Mは定数と見なせるので、Pはdに比例する直線のグラフだと分かる。左下がりの直線のグラフは④しかないのでこれが正解。

4.秒殺問題。結晶部分の方が硬いので④が誤りです。答えは④です。

5.グラフより、温度を10℃→20℃に上昇させると、溶けるO₂のmol水1Lにつき、(1.75-1.40)×10^-3=0.35×10^-3mol/L減少します。水は20Lなので、20倍すれば7.0×10^-3mol/L減少すると分かります。答えは②です。

6.やや難問です。N₂の分圧は5.0×10^5×4/5=4.0×10^5Pa。20℃のとき、N₂は水1Lに0.7×10^-3mol溶けることはグラフから読み取れます。圧力は4.0×10^4Paなので、溶解したN₂は4倍して2.8×10^-3mol。圧力を1/5にすると、溶解するN₂のmolも1/5倍になるので、2.8×10^-3×1/5=5.6×10^-4mol。以上より、遊離したN₂は、(2.8×10^-3ー5.6×10^-4(mol))×22.4×10^3≒50mLとなります。答えは③です。

大問2 恐らくこの大問が一番難しいです。

7.①燃焼熱は絶対発熱、②中和熱は大抵+56.5kJ/mol、④凝固熱は絶対発熱です。なので、答えは③です。

8.CH₃COONa→CH₃COO⁻+Na⁺、HCl→H⁺+Cl⁻と電離し、酢酸ナトリウムと塩酸のmol濃度と体積は等しいので、混合液のmol濃度はちょうど半分ずつになります。ただ、混合液中の酢酸イオンは、水中でCH₃COOH⇄CH₃COO⁻+H⁺と溶解平衡が行われますので、[H⁺](mol濃度)は、反応前のCH₃COOHのmol濃度をC、電離度をαとおくと、平衡状態に達した物質とイオンのmol濃度はそれぞれ、[CH₃COOH]=C(1ーα)、[CH₃COO⁻]=[H⁺]=Cαとなります。平衡定数は2.7×10^-5なので(電離度αは無視できるほど小さい)、Ka≒Cαより、[H⁺]=√CKaとなります。C=(0.060×50/1000)/(100/1000)=3.0×10^-2mol/Lより、[H⁺]=√3.0×10^-2×2.7×10^-5=√81×10^-6=9.0×10^-3mol/L。以上より、答えは③となります。

9.平衡状態→v₁=v₂なので、k₁[A]=k₂[B][C]。平衡定数KはK=[B][C]/[A]=k₁/k₂=1/6となります。電離度をαとおくと、平衡状態に達した物質のmol濃度はそれぞれ、[A]=1ーα、[B]=[C]=αとなります。α^2/1ーα=1/6より、6α^2=1ーα→6α^2+α-1=(2α+1)(3α-1)=0。よってα=1/3となるので、①が正解です。

10.一見水素吸蔵合金の問題のように見えますが、中身はただの計算問題です。248/6.2=40より、Xの体積は40mL。これの1200倍のH₂を貯蔵可能なので、40×1200=48000mL=48L。molを求めたいので22.4Lで割ると、48/22.4≒2.1mol。答えは④です。

11.リン酸型燃料電池は負極でH₂→2H⁺+2e⁻、正極でO₂+4H⁺+4e⁻→2H₂Oと反応する事が分かれば、ア:H₂、イ:O₂は速攻埋まるはずです。ウは未反応のH₂、エは生成したH₂Oと未反応のO₂も少し考えれば分かるはずです(というかウでH₂Oが流れ出る訳がないので⑤・⑥を切るのは難しくない)。答えは④です。

12.H₂:e⁻=2:1、O₂:e⁻=1:4より、H₂:O₂:e⁻=2:1:4。H₂2.00mol、O₂1.00molより、e⁻は4.00mol流れるので、求める電気量は、9.65×10^4×4.00=3.86×10^5Cとなります。答えは④です。

大問3 全部簡単です。完答狙いにいきましょう。

13.①Al(OH)₃の白色沈殿ができるので区別可能。②NaClのハロゲン交換反応により、Cl⁻が遊離してNaBrとなるので区別可能。③ミョウバンも塩化ナトリウムも塩基性じゃないのでフェノ-ルフタレインを加えたところで変化が起きず、区別不能。④NaCl水溶液を電気分解すると陽極からCl₂が発生するので区別可能。よって、答えは③です。

14.過不足なく反応したのは、M2.00×10^-2mol、O₂1.00×10^-2molのとき。後はM:O₂=2:1で反応して酸化物ができる化学反応式を考えると2M+O₂→2MOしかありません。答えは①です。

15.秒殺問題。水に溶かすと、CO₂は酸性、Na₂CO₃は塩基性、NH₄Clは酸性です。答えは⑤です。

16.これも秒殺問題。NaHCO₃は確かに水には溶けますが、アンモニウム塩ほどではありません(アンモニウム塩はアンモニア由来の化合物なので水に容易に溶けます)。答えは①です。アンモニアソーダ法はNaHCO₃の溶解度が「比較的小さい」ことでこそ沈殿が実現するのです。

17.式をまとめると、CaCO₃+2NaCl→Na₂CO₃+CaCl₂。CaCO₃:NaCl=1:2ということだけ注意すればCaCO₃の質量をx(kg)とすると、58.5/58.5=x/100×1/2→x=50kgとなります。よって、答えは②です。

大問4 (19)(20)のひっかけと(22)の図に注意!

18.秒殺問題。1-プロピンはHC≡CーCH₃なので、どうがんばってハロゲン(臭素)化しようが1,1,3,3-テトラブロモプロパンは無理があります。よって、答えは④です。ちなみに1,1,2,2-テトラブロモプロパンなら不可能ではないです。

19.最終的に生成したのが2,4,6-トリニトロフェノール(ピクリン酸)だけとありますので、メタ位にニトロ基が置換することはあり得ません!なので、ニトロ基1個はオルト位に1個とパラ位に1個の2パターンのみが考えられます。以上より、ニトロフェノールは2種類となりますから答えは②となります。

20.19同様、メタ位にニトロ基が置換することはありません。となると、2個のニトロ基はオルト位に2個とオルト位とパラ位に1個ずつ置換したパターンのみが考えられます。よって、ジニトロフェノールは2種類となりますから答えは②となります。

21.秒殺問題。ポリエチレンテレフタラート(PET)が2種類の物質(テレフタル酸・エチレングリコール)を縮合重合して製造されていることを知っていれば即座に選べたはずです。答えは⑤です。

22.今回使われている「還元」の意味が、カルボキシ基COOHがヒドロキシ基OHになる変化の事を指しているということに気づけたら一気に楽に解けるようになります。0~48hで還元しきってしまうAはジカルボン酸、48~96hで還元をやめると徐々に元に戻ろうとするCはヒドロキシ酸、特に変化しないBがジアルコールです。よって、答えは②です。

23.C:176×12/44=48、H:54×2.0/18=6.0、O:86-48-6.0=32より、C:H:O=48/12:6.0/1.0:32/16=4:6:1となるので、答えは①・③・⑤のいずれかだと分かります(②・④・⑥は数えるとC₄H₈O₃)。銀鏡反応を示さず、NaHCO₃と反応しないことから、構造中にアルデヒド基CHOとカルボキシ基COOHがないことが分かります。①にはCHO、③にはCOOHがあるので正解は⑤となります。

24.頑張って数える。それしかない。そうすると異性体は5個あり、うち3個に不斉炭素原子が存在する。以上より、答えは④です。

大問5 大問2同様、計算が多くて大変です。

25.秒殺問題。同一直線上にあるというのは無理があります。答えは③です。

26.オゾン分解は入試問題頻出なのでおさえておきたい。Bはアセトアルデヒドだとヨードホルム反応陽性なので②・③はダメ。Cはヨードホルム反応陽性なのでどちらか一方にはCH₃が含まれるハズである。以上より、答えは④です。

27.Q=186+217+99-67-(-143)=578kJ/mol。答えは③です。

28~30.1~6sのとき、Aのmol濃度は(4.4-2.8)×10^-7=1.6×10^-7mol/L減少する。平均の反応速度はv=1.6×10^-7/5.0ー1.0=3.2×10^-8mol/(L・s)となります。答えは(28)3 (29)2 (30)8です。

31~33.実験1と3を比較すると、O₃を3倍にしたときvは3倍になるので、b=1。また、実験1と2を比較すると、Aを4倍・O₃を1/2倍にしたときvは2倍になるので、4×1/2=2よりa=1。これより、v=k[A][O₃]→k=v/[A][O₃]=5×10^-9/(1×10^-7×2×10^-7)=2.5×10^5L/(mol・s)となります。答えは(31)2 (32)5 (33)5です。

皆さまとの出会いに感謝、略してC₁₀H₂₂です!

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