サカナクション『プラトー』

サカナクションの音楽は、しばしば夜と親和性が高いと感じる。

一人の部屋で徹夜しているとき、夜の人気がない道を歩くとき、行き場のない孤独感を抱えて横たわっているとき。


どれも視覚的には真っ暗なのだけれど、音楽を聴くと、不思議と再び歩き出せそうな気持ちが湧いてくる。


視界がさあっとひらけて、他の誰にも視認できない、自分だけの光がさす。


それは自分にしか見えないものだから、その“光景”にいたく感動して誰かと分かち合おうにも、それはできない。


自分の経験、感覚、身体に内在するものを受容体とする必要があるから、客観的に見れば孤独という状態に変わりはないのに、当の本人はなにかと繋がったような満足感を覚えて生活に向かっていくという現象が起こる。


柔らかな光の如く降り注ぐピアノの音色なのか、閃光を想起させるギターの音色なのか、己の脚の力強さを補強してくれるようなドラムなのか、踊るベースなのか…


それをもたらす理由はまったく検討もつかないが、ある1地点の心情と音楽が重なったとき、身体がなにかで満たされて、涙を溢す。


そういった意味で、私の人生にサカナクションの音楽はなくてはならないものだ。