予感
今日はひどい雨が降り続いていました。列島線状降水帯中有……(謎の羅列)
散歩するわけにもいかず、部屋でパソコンに向かっていましたが、ふと顔を上げ、窓の外を見ると、すっかり雨があがっておりました。
神様でも降臨したのでしょうか。
薄灰色の雲間から覗く淡い水色に、夕日のオレンジが混じった空色を見て、見えない何かに背中を押された感覚がしました。
ハンガーにかかっていたパーカーを羽織り、スマホだけポケットの中に落とし、するっと家を出ました。
雨上がりの、すがすがしい空気に、「おー」と感心します。
浅い水たまりがあちこちに出来ているので、それを避けてスタスタ歩いていきます。
向こうの方で男女が並んで歩いていました。仕事帰りみたいです。
素敵な日常を垣間見ました。
夕日が家々の窓に反射して、こちらを見てきます。油断していたら、会心の一撃をくらいました。眩しい。
「ちゃんと前を見て歩け!」と言われた感じがします。
「あい」と雑に返事して、少し肩をすくめたくらいにして、歩き続けます。
洗練された草木や花の匂いがします。気持ちいいなあ。人工的な香りにはない安心感。
雨に太陽の輝きが反映されていて、キラキラと美しいので、写真を撮りました。
でもやっぱり、自分の目に映る風景と、スマホのカメラで切り取った写真とは、かなり違っています。
空だってそうです。
私には、淡く、優しく見えた空ですが、スマホの眼には、はっきりくっきり写るようです。
予感に等しい何かは得られなかった気もしますが、すがすがしい気持ちになったのは確かです。
さあ、と家のドアに手をかけると、
ガチャン。
鍵が閉まっていました。
(手違いで閉まっていただけでした。よかった……)