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東雲、東宮の読みの由来

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東雲

 読み方は「しののめ」。これは昔、篠竹で編まれた採光窓の編み目のことを「篠の目」と言ったことに由来します。篠の目から取れる光はあまり明るいものではなく、これが日の出ごろの薄明に対する例えとして用いられました。また、枕草子にも「紫だちたる雲の細くたなびきたる」とある通り、未明を象徴するものは朝焼けに照らされた雲なのです。このことから、「しののめ」と呼ばれた薄明には「東雲」という漢字が充てられました。

東宮

 音読みすれば「トウグウ」ですが、訓読みでは「はるのみや」と読みます。これは陰陽道によるものです。陰陽道には天地を象った基本図像があって、これを八卦といいます。その種類は ☰(乾) ☱(兌) ☲(離) ☳(震) ☴(巽) ☵(坎) ☶(艮) ☷(坤) の8つです。

 ここで、☳(震) について見てみます。これは自然では雷、性情では動、家族では長男、身体では足、動物では龍、季節では、時刻では卯、味では酸、色では、惑星では木星を示す、後天東方位の三碧木星です。天皇家において長男的な役割を持つのは皇太子ですから、皇太子が象徴する方位は東、季節は春なのです。これが皇太子を「東宮」と書き「はるのみや」と読む由来なのです。

 ところで、震の卦が青と春を示すというと、何かに気づきませんか? そう青春ですよね(『青と夏』に気づいた方は Mrs. Green Apple の見すぎ)。青春というのはもともと陰陽道の概念だったということです。ちなみに他の季節にも色がついていて、それぞれ青春、朱夏、白秋、玄冬となっています。詩人の北原白秋で見たことのある方もいるかもしれませんね。

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